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2012年05月31日

これも仁和寺の法師


ちょっと変わったニュース。

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仁和寺に慰謝料命令 茶店不許可
「本当は節税対策」(京都新聞 5月31日)
 御室桜で有名な仁和寺(京都市右京区)が宗教的理由で、花見客に長年すき焼きを販売してきた茶店の営業を認めなかったことをめぐり、
茶店経営者ら3人が営業権の確認や慰謝料を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であった。松本清隆裁判官(冨田一彦裁判官代読)は
「不許可にした本当の理由は節税対策で、茶店側への配慮を欠く」として寺に慰謝料計120万円の支払いを命じた。(以下略)

仁和寺といえば、皆さんのイメージはどうでしょう。京都好きの方なら、御室桜でしょうか?

私個人的には、仁和寺といえば、徒然草。徒然草(第五十三段)に、これも仁和寺の法師というのがあります。高校受験の頃、
深夜にこの演習問題をやった記憶があります。内容が奇天烈なので、憶えていたのですが、古典好きの方なら、
ご存じの方もいるかもしれませんね。

一応内容を原文にて

これも仁和寺の法師、童の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、
酔ひて興に入る余り、傍なる足鼎を取りて、頭に被きたれば、詰るやうにするを、鼻をおし平めて顔をさし入れて、舞ひ出でたるに、
満座興に入る事限りなし。
しばしかなでて後、抜かんとするに、大方抜かれず。酒宴ことさめて、いかゞはせんと惑ひけり。とかくすれば、頚の廻り欠けて、血垂り、
たゞ腫れに腫れみちて、息もつまりければ、打ち割らんとすれど、たやすく割れず、響きて堪へ難かりければ、かなはで、すべきやうなくて、
三足なる角の上に帷子をうち掛けて、手をひき、杖をつかせて、京なる医師のがり率て行きける、道すがら、人の怪しみ見る事限りなし。
医師のもとにさし入りて、向ひゐたりけんありさま、さこそ異様なりけめ。物を言ふも、くゞもり声に響きて聞えず。「かゝることは、
文にも見えず、伝へたる教へもなし」と言へば、また、仁和寺へ帰りて、親しき者、老いたる母など、枕上に寄りゐて泣き悲しめども、
聞くらんとも覚えず。
かゝるほどに、ある者の言ふやう、「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらん。たゞ、力を立てて引きに引き給へ」とて、
藁のしべを廻りにさし入れて、かねを隔てて、頚もちぎるばかり引きたるに、耳鼻欠けうげながら抜けにけり。からき命まうけて、
久しく病みゐたりけり。

あらすじ
酔っ払った仁和寺の法師が、調子にのって鍋をかぶって騒いでたら、
その鍋が抜けなくなりました。最後は力任せに引っ張ったら、耳鼻欠けたけど、ぎりぎり助かりましたとさ。

羽目を外しすぎて、調子にのった法師がいたお寺ですから、こんなニュースがあっても驚きません。

吉田兼好がニュースを知ると、

さこそ異様なりけめ

とまた書くんでしょうか(笑)。