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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2012年07月20日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その5

補正にならないためには、
1.株主総会に出席した監査役として氏名が記載されない監査役候補者からは、必ず就任承諾書をもらう。

または

2.株主総会に出席した監査役候補者として氏名が記載ような議事録を準備する。

のいずれか。あるいは、強引に出席監査役だと記載するか。厳密には、出席監査役ではないですけど、「出席」
の文字があるだけ補正はないでしょう。でも本筋ではないですね。

1の就任承諾書を準備するのは、面倒に思えますが、グループ会社の役員変更は、総会・
役会ともに書面決議を行うケースも増えてますから、就任承諾書を準備するのも珍しくありません。(書面決議なので、
出席の概念がそもそもないので、就任承諾書を援用する余地がありません。)

書面決議で毎回準備することを考えると、実際に開催する株主総会の場面で就任承諾書をそんなに手間ではない気がします。

2の株主総会に出席した監査役候補者の氏名を記載するのも亜流ではありますが、現実問題として、就任承諾書を準備しないのであれば、
一番いいかもしれません。

色んな安全策がありますが、長年の実務の取り扱いの変更は、正直勘弁してもらいたいと思います。

申請する管轄法務局に、いちいちこのやり方でいいか確認しながら準備する時代にはなってほしくないなあ。

という訳で、ダラダラ書いておりましたが、一応終わり。

次回からまたネタ探しの日々。。。
よい週末を!

2012年07月18日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その4

海の日は、近所の東京プリンスのプールに子供と行ってきました。自分の中の季節は梅雨だったので、
プールで遊ぶというのに多少の違和感がありました。いよいよ夏本番。大好きな季節の始まりです。

さて、またまたつづき。

一番問題になるのが、監査役の任期満了に伴う後任者選任の場面だと思います。
従前の監査役は、総会終結時まで監査役であり、その後任として選任された監査役は、総会終結後に監査役の身分になります。

株主総会議事録には、株主総会に出席した監査役の氏名は記載されます。

参考までに
会社法施行規則
(議事録)
第七十二条  法第三百十八条第一項 の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2  株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3  株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一  株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、
会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二  株主総会の議事の経過の要領及びその結果
三  次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要(一部省略)
四  株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、
監査役又は会計監査人の氏名又は名称
五  株主総会の議長が存するときは、
議長の氏名
六  議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

ということは、後任である監査役は、その総会ではまだ監査役でなく、監査役候補者。会社法施行規則にあるように議事録を作成すると、
株主総会議事録に氏名が記載されません。

「なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。」という文言をせっかく入れていても、
その議事録で明確に出席したと判断されない可能性がでてきます。となると、「就任承諾書を添付してよ。」
と登記官に要求されることも可能性0ではありません。

じゃあ補正にならないようには、どうするか。
せこく続けます。では。

2012年07月13日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その3

さて、つづき。
「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」
で問題になっている件。

実は法務省が、この場面の株主総会議事録をHP上で公開しています。
私の記憶では、数年前まで「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」と記載されていたと思うのですが、現在公開されている文言は、

「なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。」

となっています。ご丁寧にこの場合は、就任承諾書を添付しなくていいよと解説まで掲載されていますから、
これで問題になることはないと思われます。ポイントはやはり「席上」の2文字。

「なお、各被選任者はその場で就任を承諾した。」とほとんど同じ意味でしょうが、HPで公開中の「なお、被選任者は、
いずれも席上その就任を承諾した。」のほうが問題はないのでしょう。

HPで公開している文書がわざわざ書き換えられているところをみると、この文言で「問題なし」
との内部の調整がとられているんだと思います。

これで困ることはないはずですが、この記載で問題がないのは、取締役や監査役の身分を株主総会中に得られた場合です。

特に問題になるのが、監査役の任期満了に伴う後任者選任の場面。

これから飲みに行くので、また続けます。
ごめんね。

2012年07月11日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その2

会社法が施行された際に、株主総会議事録に押印していない役員は、就任承諾書を援用できないとか、誤った処理をされそうになった話は、
今となっては昔話。

今の時期になって問題になっているのは、この1行の記載の仕方。実務をやられていない司法書士受験生の方には、
司法書士がこの問題に振り回されているなんて、思わないでしょうね。法務局によって、運用が統一されていないのも、問題を大きくしています。

今まで
「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」
で問題なかった文言も場合によっては、「株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した」のか疑われ、場合によっては、別途、
就任承諾書を添付するよう求められてしまいます。

似たような文言ですが、より受理される可能性が高いのが、

「なお、被選任者は、いずれも即時その就任を承諾した。」
「なお、被選任者は、いずれも直ちにその就任を承諾した。」

でもこれも100%安全ではありません。

「なお、各被選任者はその場で就任を承諾した。」

だいぶいいかんじになってきました。

思ったより長くなるので、せこくつづく。

2012年07月10日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話

だいぶさぼっておりました。失礼しました。

さて、今日は色んな方がブログで取り上げている役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話。

総会が終わり、役員変更登記の多い時期ですが、今年になって就任承諾書で補正になったり、法務局ともめたりした司法書士は、
いませんか?「だって去年までこれで良かったでしょ?」というやるせない気持ちになってませんか?

もめてる原因は、株主総会議事録の

「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」

という記載。

この記載は、そのままあの書式精義の株主総会議事録のサンプル例にもそのままの文言で記載されている有名(?)なフレーズです。

実務上、たった1行ですが、大事な1行。

さらに、書式精義には、

株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した場合には、「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と記載して差し支えない。

と記載されています。

要は、「株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した場合で、株主総会議事録にその旨の記載があれば、
就任承諾書を登記の申請書に添付しなくていいですよ。」ということです。

この業界の人間なら誰でも知っている話。司法書士も登記官も司法書士試験の受験生も誰でも知ってる話が、問題になっています。

思ったより長くなりそうなので、つづく。