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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2012年07月04日

名称抹消等請求事件

昔、商法時代と比べると、設立や商号変更の際の類似商号の調査は、ずいぶんと楽になりました。
登記ができないという意味での類似商号は、実際ほとんどあり得ないと思います。

だからといって類似商号の調査が不要かというと、不正競争目的による類似商号の使用の問題があるので、
ある程度はしなければなりません。

しないとどうなるのか。

↓こんなかんじになるといういいサンプル。

平成24年6月29日判決言渡
平成23年(ワ)第18147号 名称抹消等請求事件
http://kanz.jp/hanrei/data/html/201206/20120703104630.html

 

ご一読下さい。

2012年07月03日

今年の司法書士試験問題について

週末、法廷デビューの道で紹介したことのある「たーさん(仮名)」から電話がありました。

法廷デビューの道
http://shihoushoshi.main.jp/blog/archives/000342.html

 

今年も司法書士試験を受けたとのこと。今日はちゃんと試験問題(といっても商業登記の書式の問題だけ)を確認したので、
思ったことを書きます。

有限会社は、古い時代にも1度だけ出題されましたけど、書式の問題としては、メジャーではありません。商号変更によるによる移行は、
マイナーな有限会社の中では、メジャーな分野。しっかりと練習していたかどうかは、別として、書けなくはない分野です。実務では、
同日での増資や同日での管轄外本店移転など、ちょっと込み入った登記と合わさると難易度がアップしますが、
さすがにそこまで複雑ではありません。

合併にしてもそう複雑ではありません。官庁の許可とか要らないとか注意書きも念には念を入れたかんじ。
目的上事業者にあたったりしないように、目的も飲食店の経営のみと、試験委員も念には念を入れてます。

登記できない事項も、注意書きに異常な記載(株主の一部が総会を途中退席)があるので、すぐに気付いた受験生も多いと思います。

問題の中で、唯一気になったのは、監査役を取締役に選任しているところ。司法書士試験の授業では、メジャーな論点ですけど、
問題文から明確に監査役として辞任した記載がないこと。

先日、似た事案があって、調べていたのですが、こんな最高裁の判例があります。(試験問題の事案とは取締役・監査役が逆ですけど)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130532646427.pdf

 

監査役に選任された者が就任を承諾したときは、監査役との兼任が禁止される従前の地位を辞任したものと解すべきである

 

取締役としての就任承諾で、監査役は当然辞任というカラクリは、実務ではお目にかかることはないので
(当然事前に辞任届なりを用意してます。)、理屈で分かっていても、試験中に解答するのは、やや困難だと思われます。

とにかく受験生のみなさん、おつかれでした。

2012年06月28日

あんなに準備した株主総会

以前ご紹介した
「野村ホールディングス」の定時株主総会招集がすごすぎる件
http://shihoushoshi.main.jp/blog/archives/002494.html

にあった株主提案は、

株主提案(第3号議案) 定款一部変更の件(商号の国内での略称および営業マンの前置きについて)
本件は否決されました。
株主提案(第12号議案) 定款一部変更の件(日常の基本動作の見直しについて)
本件は否決されました。
株主提案(第13号議案) 定款一部変更の件(取締役の呼称について)
本件は否決されました。

予想通りでありますが、全て否決されてしまいました。

東京電力の株主総会では、総会開催直後に、
「動議」「あなたには議長の資格がない」と怒号からスタート。

問題のあった会社の株主総会は、どこも大変なようです。

そんな株主総会ではありますが、かなり入念に株主総会の準備され、かなりお手伝いをさせて頂いた企業の担当者から、
無事に総会が終わりましたと連絡がありました。

「あっという間にシャンシャンで終わりました。あんなに準備したのに。。。」

「あれだけ手間をかけてそりゃないよ。」という気持ちも分からなくはないですけど、まあ無事終了でなによりです。

2012年06月27日

取締役の任期のお話 小林幸子の場合

取締役の任期のお話のつづき。

「いやいや損害賠償とかリスクがあるから、御社の場合、取締役の任期は短めにしましょう。」と任期の説明をするのに、
適した事例がないと常々思っていたとろこ、こんなニュースが。

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小林幸子、元社長らに6000万円支払い
(サンケイスポーツ 6月26日)
 演歌歌手、小林幸子(58)の個人事務所を舞台にした“お家騒動”をめぐり、
小林側と解任された女性元社長ら取締役の間で会社法に基づく報酬の合意のあったことが25日、分かった。元社長側の関係者によると、
合意したのは今月15日。4月に取締役を突然解任されたため、残り約3年半の任期に支払われるべき報酬を受け取ることで合意した。
元社長に約4000万円、元専務に約2000万円で小林側からの減額要求を受け入れた格好だという。(略)

ここでいう会社法は、こちら。
(解任)
第三百三十九条  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2  前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、
解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

この「解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」部分が、
残り約3年半の任期に支払われるべき報酬ということで合意したようです。

取締役の任期が2年だったら、残り約1年半分、任期が1年だったら残り半年分で済んだところです。

こんなお家騒動は、想定していなかったのか、任期を4年以上に伸長して失敗した典型例となりました。(オーナー側からすれば)

定款の役員の任期を変更する時、ここまでのことをじっくり検討はされなかったのでしょう。相手方は、
こんな定款の規定があってラッキーというべきか。

これからお客さんに説明する時には、このニュースの話をしてみたいと思います。

2012年06月26日

取締役の任期 任期伸長について

今日は、取締役の任期のお話。

会社法が施行された頃に、役員の任期を10年まで伸長しようというブームがあったかどうかはわかりませんが、税理士さん主導で、
取締役の任期を2年から4年とか5年とか限度一杯の10年とかに伸長した会社は少なくないようです。

一応念のため条文。
(取締役の任期)
第三百三十二条  取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、
定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2  前項の規定は、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

この役員の任期の伸長ができるのは、公開会社でない株式会社に限ってのことなので、譲渡制限がない設立の古い会社で、
無理に10年に伸長して、はまってしまった税理士さんがたまにいるのも事実。

詳しくは、
税理士さん、気を付けてね 気づいたら10年の登記懈怠
http://shihoushoshi.main.jp/blog/archives/002360.html

そんな税理士さんが取締役の任期を伸長しようという流れを、

「いやいや損害賠償とかリスクがあるから、任期は短めにしましょう。役員変更登記をいっぱい頼んでね。」っていうのが司法書士の立場
(笑)。

この点をお客に分かりやすく説明する事例がなかったのですが、とうとういいネタみつけちゃいました。

ということで、つづく。