今朝、昔勤めていた事務所の番頭さんから電話がありました。
「おやじが死んだ。」
私のこの業界の師匠であるT先生がお亡くなりになりました。88歳でした。
高齢であるにもかかわらず、毎日事務所に来られていました。ついこの間までお元気だっただけに残念です。
しかしながら、たいへんなヘビースモーカーでもありましたから、天寿を全うされたと思います。(そんなT先生の事務所には、
登記研究の第1号から全て揃っておりました。古いものは、虫に食われていてもいいくらい発行されてから時間が経っていましたが、
タバコのヤニがべっとりついており、虫も食えず、いい保存状態でありました。)
初めて先生にお会いした時、先生は権利証の宛名を筆で書くために、墨を磨っておられました。当時は「どれだけアナログなんだよ。」
(詳しくは昔のブログ)
と思っておりましたが、偽造の権利証等の事件等を考えると、あのアナログなやり方が、
実は確実な偽造防止であったのではないかと思ったりもします。
昔、私が作成した申請書類を確認されていましたが、先生のチェックは驚くほど速い。
「ちゃんと見てないんじゃないか。」と思うぐらい速い。
でもたまに「原田君、これ違う。」と間違いを指摘されていました。
「あの速度でなぜ分かる?」
口には出しませんでしたが、そんな気配を感じたのか、
先生は一言。
「絵だよ。」
どうやら「こんな案件の申請書は、この辺に活字があり、この辺りは白い」
という絵画のようなイメージが頭の中に出来ておられたようです。
もっと色々教われば良かったかな。
ご冥福をお祈りします。