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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2013年11月06日

NEET株式会社続報 誰か彼らに伝えてくれよ

NEET株式会社続報です。
「おいおい誰か彼らに伝えてくれよ」みたいなやや辛口になっております。

ニート170人超「全員が取締役」 今月会社を設立へ(THE PAGE 11月6日)
(中略)
数メートルに及ぶ委任状
 10月30日、東京の国立オリンピック記念青少年総合センター。
 この日は、会社定款の委任状と取締役就任の承諾書に、発起人メンバーのニートたちが押印するために集まった。会場には、 数メートルに及ぶ委任状にメンバーの名前がずらりと記されていた。委任状は発起人の人数分の割り印が必要で、 通常の形式の書面では人数が多すぎて全員が印鑑を押せないので、巻き物状の委任状になったという。発起人は135人だが、 最終的に取締役に名を連ねるのは175人になる。

この記事を読む限りでは、司法書士は関与してないんでしょうね。
つっこみどころが多すぎて困りますが、ひとつひとつ片づけていきましょう。

まず数メートルに及ぶ委任状問題。
「通常の形式の書面では人数が多すぎて全員が印鑑を押せないので、巻き物状の委任状」にしたとあります。
そもそも発起人にこれだけの人数が必要かはひとまず置いておきましょう。
発起人が135人が定款認証の委任状に押印する必要が仮に、(仮にです。)あったとして、契印(記事では割印となっていますが、これは間違い。)は代表者ひとりで問題なく処理してもらえます。契印のために、わざわざ巻物にする必要はどこにもありません。

そもそも発起人にこれだけの人数が必要か問題。
たぶん彼らの最終的なゴールは、175人が全て取締役になり、全員が同じだけ株式を保有すること。
だとすると、とりあえずは、発起人1人にして、後日株式を発行するなり、あるいは代物弁済で処理したり、楽する方法はいくらでもあります。押印の手間、費用などを考えると、発起人が135人は無理があります。好意的に考えて、この押印のための集会が彼らにとって大事なお祭りであれば、まあ理解できなくもありませんが、基本的にこの方法はないです。

取締役の就任承諾書に押印が必要か問題。
正攻法でやるとすれば、当然こうなってしまうんでしょうが、取締役は175人。登記官も175枚の就任承諾書を確認はしたくないでしょう。とりあえず、少人数でスタートして、ほぼ175人が集まる株主総会を設立後に開催して、席上就任承諾させて就任承諾書は添付省略としましょうよ。押印も代表取締役1名でOK。(取締役会設置会社なら。。。)

まさかとは思うけど、取締役会設置会社だよね問題。
就任承諾書を添付省略する方法も取締役会設置会社だからできるわけで、取締役会非設置会社だと個人の印鑑証明書は必要になるし、実印の押印も必要だし、いいことなし。

でも取締役の就任承諾書に押印させているので、定款に100人を超える取締役の名前が記載されたっぽい。。。

まさかとは思うけど、代表取締役1名問題。
若新さんという人が代表取締役になるみたいですけど、代表取締役が一人だとすると、この人に何かあったら、取締役会議事録には、全員実印で押印・印鑑証明書全員分添付という地獄パターン。代表取締役は複数名にしておきましょうよ。

楽する方法はいくらでもあるのに、いばらの道を歩み始めたようです。設立したら、自腹で閲覧してみたい(笑)。

取締役175人のうち、ひとりでもこのブログを読んで、楽な運用を考えて欲しいと切に願います。

2013年11月01日

印鑑カード交付申請書のお話 完結

長々と印鑑カード交付申請書の話を続けてきましたが、下記の金子先生の投稿記事をまとめてお読み頂き、完結とさせて下さい。

2013.10.30(水)【重要:印鑑カード交付申請人】
2013.10.31(木)【印鑑カード問題その2】
http://www.esg-hp.com/index.html

簡単な日常の業務のひとつである印鑑カード交付ですが、掘り下げると色々な問題がありました。

商業登記規則9条の4違反とも思われる書式も、たぶん大量に印刷されたものが残っているので、急に変更されることはないと思われます。

しかし、予算の問題がなくなれば、いずれ適正な書式に改善されます。現在迅速に処理してもらえる可能性の高い旧書式も、
やがてそうでなくなる日が来るでしょう。

私も含め、日々惰性で確認されていたであろう印鑑カード交付申請書ですが、いかがだったでしょうか。

関連するネタがもうひとつありますので、それはまた別の機会に(笑)。

2013年10月30日

印鑑カード交付申請書のお話 その5

まずは、法務省のHPにアップされているこちらをご確認下さい。
印鑑カード交付申請書
http://www.moj.go.jp/content/000011595.pdf

次はこちら
地元の法務局に置いてある書式。(法務局HP)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/2251.pdf

どちらも新しい書式ですが、よく見ると違います。
地元法務局で配布している書式には、下記の部分がありません。
 (地方)法務局    支局・出張所   平成  年  月  日 申請

もう一度商業登記規則を見てみましょう。

(印鑑カードの交付の請求等)
第九条の四  印鑑の提出をした者は、その印鑑を明らかにした上、印鑑届出事項のほか、氏名、住所、
年月日及び登記所の表示を記載した書面を提出して、印鑑カードの交付を請求することができる。

もうお分かりですね。

年月日及び登記所の表示
を記載した書面を提出しなければならないのに、この部分がありません。

印鑑カードの交付を請求する方からすると、記載事項が少ないのが楽に違いないのですが、
さすがに第九条の四の記載事項の一部がないのは、どうなんでしょうか。

地元の法務局では、さすがにこちらの一部省略された書式を配布されているので、「年月日及び登記所の表示」
がなくても印鑑カードは交付してもらえるようです。

他の管轄ではどうだかわかりませんが、下記の書式を利用したほうが問題ないですね。
http://www.moj.go.jp/content/000011595.pdf

でもどうしてこんなことになったんでしょうね???

2013年10月29日

印鑑カード交付申請書のお話 その4

昨日は失礼致しました。

さてつづき。
各法務局の対応をまとめます。

S法務局
新書式で、代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載。しかし「本店・商号・資格・氏名」の記載が望ましい。

N法務局
過去内部で問題になったことがあるようです。代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載するのが正しいが、新旧どちらも問題ない。

O法務局 配布している書式は旧書式なので、「本店・商号・資格・氏名」を記載、代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名の記載も可。

H法務局
新書式、代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載。「本店・商号・資格・氏名」を記載していても受理される。

T法務局
新書式で、代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載。「本店・商号・資格・氏名」の記載だと補正もある。

F法務局
配布している書式は旧書式なので、「本店・商号・資格・氏名」を記載、代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名の記載も可だが、「本店・
商号・資格・氏名」が望ましい。

やはり仮説はあっていました。どうやら法務局によって配布している書式が違うようです。法務局でまだまだ旧書式があるようですから、
地方法務局では、旧書式が多いと思われます。

法務省のHPの書式より、基本的には、その法務局で配布している書式を優先している印象を受けました。

そこまで暇ではないので、全ての地方法務局を確認することはできませんでしたが、
なんとなくのニュアンスはお伝えできたのではないでしょうか。

結論
印鑑カード交付申請書の委任状部分の住所・氏名は代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載しても、「本店・商号・資格・氏名」
を記載しても現時点では、ほぼ問題にならない。

実に中途半端な結論となりましたが、スムーズな処理を期待するのであれば、逐一提出先に確認するのもありですね。

次回は見つけてしまった書式の問題点やります。

2013年10月25日

印鑑カード交付申請書のお話 その3

つづきです。

「印鑑カード交付申請書の委任状部分の住所・氏名は何を記載する」のが正しいのか、ひとまず地元の法務局に確認しました。

ここでは「住所・氏名」を記載させる書式を新書式、「本店・商号・資格・氏名」を記載させる書式を旧書式と呼ぶことにします。

地元の法務局に置いてある書式は、こちらの書式です。当然新書式タイプ。(法務省HP)

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/2251.pdf

 

この書式はこの書式で問題があるのですが、こちらの問題点については、「印鑑カード交付申請書の委任状部分の住所・
氏名は何を記載するのか」が解決した後にご説明します。

 

さて本題。
地元法務局の結論は「印鑑カード交付申請書の委任状部分の住所・氏名は代表取締役個人の住所・代表取締役の氏名を記載する」でした。
でも昔の旧書式で提出されたものに関しても問題なく処理されているようです。

もしかして結局どちらでもいい?

「印鑑カード交付申請書」を提出するのは、会社設立時と管轄外本店移転時です。当然全て地元の法務局で処理されるだけではないので、
他の法務局の取り扱いが気になりました。

忙しかったのですが、ブログのネタにもなりますし、全国の法務局(地方法務局ではない)に問合せしてみました。

暇そうだね〜(笑)。

まずは、S法務局。
こちらは旧書式、新書式は出回ってない印象でした。当然委任状部分は、「本店・商号・資格・氏名」を記載しているようです。

 

ここである仮説

法務局によって、配っている書式が違うのではないかということ。東京のように会社設立と管轄外本店移転が多い管轄には、新書式。
それほど枚数が出てない管轄は残っている旧書式を配っているのではないかということ。

もったいぶっておりますが、またつづく。