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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2013年10月04日

「半沢直樹」の最終回 会社法上どうなの??っていう箇所 ラスト

前回、
中野渡頭取が大和田常務に取締役への降格人事を伝えるために、取締役会の決議の省略を利用したのではないかとしました。

あくまでも常務取締役の解任を取締役会で決議する方法論について、あれこれ書いたのですが、本当に現実的でしょうか。

大和田常務を解任する決議があった場合、取締役会議事録に記載されます。

(議事録等)
第三百七十一条  取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、
第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」
という。)をその本店に備え置かなければならない。

さらにその取締役会議事録は、株主の目に晒されます。

2  株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、
いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 

大和田常務を解任するとその解任理由である迂回融資等の外部に出したくない情報が漏れることになります。
中野渡頭取もただではすみません。

半沢が苦労して金融庁の追及を逃れた疎開資料、あるいはそれに類似する資料が取締役会議事録の一部として外部に公開?

そんな馬鹿なことを中野渡頭取がやるはずありません。

だとすると、
「大和田暁、本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる」
とカッコいい台詞も

「大和田暁、本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる。(解任と言ったけど、実際に取締役会で解任するんじゃなくて、でもお互いの保身があるから、ここは、
身体上の理由か何かで辞任してね。)」

それで大和田常務が辞任届にハンコ押しておしまい。取締役会議事録に記載する必要もなくなりますし、外部に情報が漏れることもない。

でもこれじゃあドラマも台無しになるんで、実際の処理と台詞が一致しないというのが最も現実的な結論のようです。
(おしまい)

2013年10月03日

「半沢直樹」の最終回 会社法上どうなの??っていう箇所 その4

東京中央銀行ぐらいのメガバンクの取締役会で、大和田常務の常務取締役の解任のみの議案が提出される取締役会は開催されないでしょう。
となると他にも議案があるはずで、大和田常務にも取締役会の招集通知がなされており、ある程度の議案の内容は、わかっているはずです。

ちなみに、大和田常務は自分の解任議案は特別利害関係人となるので、常務取締役の解任議案の決議に参加できませんが、
他の議案には当然参加できます。

となると、
「大和田暁、本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる」
と言われても驚く必要はありません。自分が単に常務取締役を解任され、取締役への降格したことは知っているはず。

当然、呼び出されても驚くことはない。

だったらどうしてドラマの場面のような展開になったのか?

大和田常務以外の取締役の内諾を得ていて、実際にはまだ取締役会の招集もない段階で、「大和田暁、
本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる」という台詞を言ったとも考えられます。

でも断言し過ぎてますね。

となると、これ使ったのかな。

(取締役会の決議の省略)
第三百七十条  取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役
(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき
(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、
当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

「当該事項について議決に加わることができるものに限る。」となっているので、大和田常務以外の取締役に提案書を回して、
あの場面の日に同意書を回収していれば、

「大和田暁、本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる」という台詞も堂々と言えます。
多忙な取締役のスケジュールの調整も必要ないですし、岸川取締役も大和田常務の迫力に屈することもありません。ハンコ押しておしまい。

これが現実的なのかな。

2013年10月01日

季節の変わり目

10月になりました。

法務局も急に混みはじめました。

季節の変わり目。

去年もこの時期に風邪をひきましたが、今年も引いてしまいました。

急に寒く感じるようになったら、要注意ですね。

昨日に続き、今日も帰ります。。。

2013年09月27日

「半沢直樹」の最終回 会社法上どうなの??っていう箇所 その3

【その4】中野渡頭取が大和田常務に取締役への降格人事を伝える場面 つづき1

ドラマの銀行は東京中央銀行。そのモデルになっているのが三菱東京UFJ銀行。現在の三菱東京UFJ銀行は、
取締役17名監査役8名という構成です。

http://www.bk.mufg.jp/kigyou/executive.html

ドラマの取締役会も大きなテーブルを挟んで20名くらいが出席しています。それぞれの取締役は多忙なスケジュールの中、
取締役会に出席します。これだけの人数となると、スケジュールの調整もたいへんです。

頻繁に取締役会の開催はないはずですので、あの取締役会は定例の取締役会であったのではないかと推測されます。

また中野渡頭取が「大和田常務の処分は後日うんぬん。」と取締役会で発言していますので、
その後開催されたであろう臨時の取締役会で大和田常務の常務取締役の解任は決議されたはずです。

さらに中野渡頭取が「本日付をもって常務取締役職を解任し、」と言っているので、臨時の取締役会は、
大和田常務を呼び出した日に開催されたはず。

となると妙ですね。

とまたつづく(笑)。

2013年09月26日

「半沢直樹」の最終回 会社法上どうなの??っていう箇所 その2

昨日の続き
【その3】そもそもあれは取締役会なのか。
会社によっては、会社法で定義された取締役会以外に部門長も出席する経営戦略会議や常務取締役のみ出席するような常務会などがあります。
経営戦略会議であれば、内藤第2営業部長や半沢直樹が出席していても問題ないと思いましたが、ドラマの中で大和田常務が「取締役会」
とはっきり発言しているので、事前に内藤第2営業部長や半沢直樹が出席することに対して、取締役の了承を得ていたものだと推測されます。

【その4】中野渡頭取が大和田常務に取締役への降格人事を伝える場面
地方に出向を命じられることを覚悟していた大和田常務に、中野渡頭取がこういいます。

「大和田暁、本日付をもって常務取締役職を解任し、取締役への降格を命じる」

常務取締役は代表取締役や取締役と違って会社法に定義されている用語ではありません。会社内部で会長や副社長、専務取締役、
常務取締役という役職を定めたものです。これらを役付取締役と呼びます。

役付取締役の選任・解任は取締役会の決議事項です。大和田常務を糾弾した取締役会を閉会しようとした最後に、中野渡頭取が
「大和田常務の処分は後日うんぬん。」と話していました。とすると、あの取締役会で大和田常務の常務取締役の解任は決議されていません。

しかも「本日付をもって常務取締役職を解任し、」と言っていることから、取締役会の決議がこの日に行われたことになります。

するとここで疑問が。
長くなりそうなので、つづく(笑)。