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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2008年03月03日

中小企業の法的課題の相談役は誰?

今週からゲートキーパー法対応、そして東京司法書士会「依頼者等の本人確認等に関する規定」の対応に時間かかってますが、
手探りで業務をやり始めました。真面目にやろうとすればするほど、時間ばっかりかかる気がします。そうなると当然、
しばらく様子見の事務所もあるかと思いますが、うちは「ガチガチ」に本人確認します。ご迷惑おかけしますが、
本人確認のご協力宜しくお願いします。


さて、今日は法的課題の相談役についてのお話。

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法的課題の相談役は弁護士より税理士
(2008.3.3 税経WEB)
日本弁護士連合会(日弁連)がこのほど公表した「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書
によると、中小企業の弁護士利用経験率は、全国平均では51.8%と半数を若干超えた程度で、
47.7%が弁護士を利用した経験がないと回答するとともに、弁護士以外の法的課題の相談役には税理士の割合が高いことがわかった。

我々士業は、弁護士のみならず敷居が高いと思われがちです。弁護士よりも敷居が低いはずの司法書士も、中小企業にとって
(不動産登記がついて回る一部の企業を除けば)、そう頻繁に接触する相手ではありません。

そうなると顧問契約が馴染み易く、数ヶ月に1度は訪問するであろう税理士が法的課題の相談役となるのも自然なこと。

このアンケート結果で、中小企業の法的課題の相談役は

税理士 56.6%
社会保険労務士 31.0%
司法書士 24.8%
公認会計士 21.9%

という結果がでました。
売上高が低いほど税理士、売上高が高いほど社会保険労務士への相談が多いようです。売上高が高いと従業員も多いはずですから、
社会保険労務士との接触が増えるのもわかるような気がします。

税理士さんの紹介で商業登記のお仕事をする機会が多いのも、このアンケート結果からすると当然のこと。
司法書士に中小企業のお仕事を紹介するのが、税理士さんと比べて、社会保険労務士さんからの紹介が少ない理由も、
顧客との接点がより強い税理士さんが間に入られるのが多いということや社会保険労務士さんへの中小企業の法的課題の中心が雇用問題やセクハラ等社内問題などが多く、
登記に結びつかない相談を受けている結果だと思われます。

もう少し司法書士もアプローチを変えれば、中小企業の法的課題の相談役としてもっと頼られる存在になると思います。
弁護士会も色々工夫していくようですが、司法書士会にも、更なる一工夫を期待したいもんです。

2008年02月12日

株式会社の設立時の資本金

不動産登記法の原稿のチェックが終わったのに、今度は民法。手抜き失礼します。


今日は株式会社の設立時の資本金のお話。

これを読んでる皆さんは、株式会社の最低資本金は1000万円でなくなったのはご存知でしょう。しかしちょっと前までは、
株式会社を設立するのに、資本金は1000万円必要でした。それが、平成15年2月最低資本金規制の特例制度がスタートし、
1000万円未満の設立も認められ、平成18年5月から施行された会社法によって最低資本金規制が完全に撤廃されました。

ですから今では、資本金1円の株式会社もOKということになります。(とはいえ、実際には登録免許税やらなんやらで30万円ぐらいは、
すぐになくなります。)

最低資本金制度が撤廃されたといっても、商売を始めるのにはやはりお金がかかります。統計によると、
一番多い資本金は、なんだかんだいっても300万円〜500万円の範囲。
平成18年の株式会社設立全体の30%がこの範囲です。
(統計データには、
有限会社からの移行分も含まれていますので、100万円〜300万円が一番多いのかもしれません。)

今でこそ、資本金が集められなくて会社がつくれないという方は、いなくなりましたが、今では1円から。
会社法が施行されてから設立された株式会社も相当増えたはず。

さて問題。
平成13年〜17年では、22000社〜31000社で推移していた新規の株式会社設立、1円でもOKとなった平成18年の設立数は?
(平成18年の統計データ)

A 41,046社
B 106,046社
C 146,046社
D 416,046社

2008年01月10日

松下電器産業株式会社の商号変更

会社が社名を変更することを我々司法書士の業界では商号変更と呼んでおります。商号変更の登記自体は、
そう難しいものではないのですが、ここまで大手の企業の商号変更となると話は別。

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松下電器産業株式会社が「パナソニック株式会社」に社名を変更
〜国内ブランドも「Panasonic」に統一(松下電器産業株式会社HPより)

松下電器産業株式会社は本日開催の臨時取締役会において、2008年10月1日付
(予定)で社名を「パナソニック株式会社」(英文表記:Panasonic Corporation)に変更することを決議しました。
本年6月下旬開催予定の定時株主総会において定款変更が承認されることを条件として、社名変更を実施します。
また現在日本国内の白物家電・住宅設備機器分野の商品に使用しているNationalブランドは、
社名変更と同時にPanasonicへの切り替えに着手、2009年度中を目途に廃止し、
国内ブランドもPanasonicに統一します。(詳しくはこちら

思い切った決断。経営の神様としてあまりにも有名な「松下幸之助」の「松下」の文字がなくなってしまいます。
私は株主でもなんでもない全くの第三者でありますが、私の感覚でも「松下」の文字が消えるのは抵抗があります。
ましてや内部の方々の思い入れやいかほどのものか?「松下」大好きという株主もおられると思いますが、
関連会社も併せて社名変更となるようです。(グループ会社一覧はこちら。)

また1925年にNationalブランドも廃止されるようです。(ちなみにブランドの歴史はこちら。)

平成元年に亡くなった「松下幸之助」、その頃に生まれた子供が成人となる時代に「松下」の文字も消えることになります。
昭和天皇から勲一等旭日桐花大綬章を受章された映像が記憶にありますが、

昭和も遠くなりにけり。

昭和40年生まれの私が、寂しく思えるだけでしょうか?

 

2007年12月07日

株主総会決議取消

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プリカは「利益供与」、総会決議取り消し命じる…東京地裁(12月6日 読売新聞)

 東証1部上場の部品製造会社「モリテックス」(東京都)
の株主総会で決議された役員人事を巡り、経営陣の刷新を求めていた筆頭株主の制御機器製造会社「IDEC」(大阪市)が、
株主の意見が正しく反映されていないのは不当として、決議の取り消しを求めた訴訟の判決が6日、東京地裁であった。

 鹿子木(かのこぎ)康裁判長は、
モリテックスが議決権行使を条件に株主1人当たり500円分のプリペイドカードを贈呈していた点に触れ、
「カードの贈呈は会社法が禁じた利益供与に当たる」と述べて決議取り消しを命じた。

 東証1部上場企業の株主総会決議が、訴訟で取り消されるのは異例という。

確かに滅多にないですね。たまに株主総会決議取消請求事件があっても、原告の請求が棄却されるほうが多いようです。

各社の言い分


「モリテックス」


「IDEC」

投資ファンドからの株主提案は多くなったようですが、この株主提案は筆頭株主の「IDEC」からのもの。「モリテックス」
の株主総会の招集通知には、株主提案について取締役会として反対する理由が詳細に記載されています。

上記のやり取りは「モリテックス」
の株主総会の招集通知
(ご興味ある方はP.58〜P.64のあたりをご覧下さい。)

これ以上の詳細はわからないので、こうして読むとどちらの言い分が正しいのか理解に苦しみます。

「モリテックス」は控訴する気満々ですので、今後の動きに注意したいところです。(役員変更は、司法書士が登記したはずなのにね。。。

株主総会のお話でしたので、2007年版の株主総会白書(商事法務)
から今日の問題。

ご存知のように会社法では、
株主総会議事録に議長及び出席取締役の記名押印は不要となりましたが、今回の集計結果(回答1952社)によると、
総会議事録への押印を行わなかったと回答した会社は

前の年に比べて5.3%

A 増えた
B 減った

2択ですが、トレンドを読むのは難しい。。。

2007年10月29日

司法書士が損保ジャパンに差押

ニュースで司法書士が登場すると不祥事が多い気がしてならない毎日新聞より一風変わったニュース。

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保険金未払い:地裁が損保ジャパンを差し押さえ /岡山
(毎日新聞 2007年10月26日)

 岡山市内の司法書士(60)が損害保険ジャパン(東京都)
を相手取って保険金1040万円の支払いを求めていた訴訟で、岡山地裁は25日までに同社に全額支払うよう判決し、同日、
仮執行を受けて同社岡山支店の現金11万5000円、机と椅子約200組などを差し押さえた。
11月8日までに支払いがない場合は競売にかけられる。

 判決などによると、司法書士は同社の
司法書士賠償責任保険」に加入していた。別の損害賠償訴訟で敗訴したため、
同社に保険金の支払いを求めたが、同社が「免責条項に該当する」として支払いを拒否したため、今年1月に提訴していた。

ずいぶん昔、某銀行も些細な金額の差押えをやられてFRIDAYか何かのネタにされてましたが、損保ジャパンも超大手。
担当者を含めて大騒ぎなんじゃないでしょうか?差押えも机と椅子約200組と強烈、何の手違いでこうなったのか詳細はわかりませんが、
岡山市内の司法書士(60)はスッキリしたはずです(笑)。

司法書士だけではなく、世間でいう専門家はその職業独自の賠償責任保険というものがあります。
司法書士の賠償責任保険はみんな入っています。

司法書士が不動産登記などの仕事上で、過失等により第3者に損害を与えてしまったような場合、
取り扱っているものが不動産なだけにその損害も高額になってしまいます。
そのため不運にも損害賠償訴訟に巻き込まれた司法書士にとって最後の頼みの綱が「司法書士賠償責任保険」です。

自分の周りに「司法書士賠償責任保険」を頼ってしまった方はあまりいませんが、
出来れば一生縁がなければそれにこしたことはありません。

司法書士も損害賠償訴訟に巻き込まれたくはありませんから、相当注意深く業務を行っていますが、今回の岡山の司法書士にとって
「免責条項に該当する」とは何だったんでしょうね?

最近ニュースになっている保険金不払い問題のような残酷な対応でないことを期待するばかりです。