本文へスキップ

司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2003年07月18日

60数年生きてて知らんかった。

今日も人手不足でクタクタでした。仕事は明日やることにしました。やれやれです。
登記申請をしてから登記が完了するのは東京法務局港出張所で通常2週間。地方で数日かかります。登記申請は原則として登記事項に変更があった日から2週間以内に行うことになっています。(これが守られないと代表者に過料の制裁があります。5万円〜100万円)そういった背景もあり、先月末の定時総会の変更登記がようやく出揃い、法務局に集まってきたようで、今申請すると3週間かかるようです。法務局のみなさんおつかれ様です。
ちょっと前置きが長くなってしまいました。登記申請に個人の印鑑証明書を使用することがありますが、皆さんはご自分の印鑑証明書をじっくりと見たことがありますか?今日60歳ぐらいの方が登記に必要になるからと印鑑証明書をお持ちになりました。以前斉藤の「斉」や渡辺の「辺」の字がいっぱいある話をしましたが、今日いらした方のお名前も珍しい字でした。
私「あれ○○さんの名前の□という字変わってますねえ。」
お客「えっ?」
私「こことここの間に棒が一本入るのは珍しいですよ。」
お客「…」 示された字をまじまじと見る。
お客「60数年生きてて知らんかった。」と深いため息。
そんなに落ちこむことでもないよなと思いつつも、もし自分がそうだったらどう思うんだろうなとちょっと考えてしまいました。
【登記一口メモ】
実は印鑑証明書に使用される漢字はかなり種類が多くて、法務局にその漢字のフォントがなかったりすることがよくあります。法務局もかなりの漢字のフォントを持っており中国の康熙字典に載っているものには対応しています。どうしてもその字がない場合は簡単な字を登記に反映させています。

2003年07月16日

フロッピー申請

今日は、商業登記のフロッピー申請のお話。
フロッピー申請といっても、中野出張所に提出する債権譲渡の登記ではありません。債権譲渡ではすっかりお馴染み?のフロッピー申請ですが、先月下旬より商業(会社・法人)登記でもフロッピーによる申請ができるようになりました。(コンピューター対応庁に限る)
現在登記申請する場合、登記事項の具体的内容については、申請書に「別紙のとおり」と記載してOCR用紙(画像データを文字認識させるための用紙)を添付することになっていますが、このOCR用紙の提出の代りに登記事項をテキスト・ファイルに保存したフロッピーを提出することができるようになった訳です。OCRといっても識字認識が低かったりしますから、データ量の多い申請(設立・本店移転・合併等)の登記手続(法務局内部の)をスムーズに行うことができるメリットがあります。(法務局のメリットですが。。。)
まだこのフロッピー申請はまだまだ業界内部で浸透しておらず、東京法務局本局でもまだ数件しか例がないそうです。地方で申請すると法務局の登記受付の人に驚かれると思います(笑)。
この申請では法務局内部でよりスムーズに手続は行われますから、登記完了日が早くなるのかな?と思って東京法務局に確認したところ「そんなことはありません(笑)。あくまでも予定日に完了します。」とのことでした。我々司法書士にあまりメリットがなさそうですが、OCR用紙が手許にない素人の方には本人申請し易いかもしれません。(本人申請し易くても司法書士に頼みましょう(笑)。)
【登記一口メモ】
フロッピーのウイルスをチェックしてから、法務局で申請を受け付けますので、もしウイルスに感染していると手続が止まってしまいますから、一応内容をプリント・アウトした用紙(OCR用紙でなくても可)を申請書に合綴して割印しなければなりません。
ちなみに添付したフロッピーは戻ってきません。管轄外の本店移転などは2種類のテキスト・ファイルをそれぞれ保存したフロッピーを1個提出すればOKです。(←完璧に司法書士向けの内容になってしまいました。)

2003年06月30日

「1円起業、無条件に」

今日の日経新聞の第一面に「1円起業、無条件に」という記事が掲載されました。お読みになった方もいらっしゃると思います。
【登記一口メモ】現行では株式会社の最低資本金は1000万円、有限会社は300万円です。この最低資本金のハードルが高いため、なかなか起業しづらい環境にありました。そこで今年2月より最低資本金規制の特例が設けられ、ハードルは多少低くなりました。(詳しくは事務所のHP)
この制度も設立後5年以内に最低資本金まで増資したり、場合によっては有限会社などに組織変更しなければならないという制約がありました。この部分に抵抗を感じる起業家の方もかなりいらっしゃいました。アメリカでは1ドルからでも会社設立できます。それを見習ったのかどうかはわかりませんが、2005年予定の商法改正により、無条件の1円会社の設立が認められそうです。
今1円会社を設立しても、この改正があれば5年以内の制約を受けないことになります。ますます起業のハードルは低くなり、産業の活性化に繋がっていくと思います。その反面、未熟なビジネスプランに基づく安易な起業も数多くなされるでしょう。しっかりとプランを練った上で慎重にこの低いハードルを越えてもらいたいと思います。
お前は何様じゃと怒られそうな建前の意見はこのくらいにして、ここから本音トーク。
正直この記事を見た時、やられたな。と思いました。最低資本金特例のお勉強、準備、実務にかなり時間を割きましたから、「おいおい、あれだけやらせといてなくなっちゃうのかよ。」と思いました。また5年以内に増資や組織変更または解散という登記手続が時限爆弾的に仕込んでありますから、我々司法書士にはおいしい仕事だった訳です。(←滅茶苦茶本音です(笑)。)
しかし冷静に考えると、単純に会社を設立しようという人がかなり増えますから、仕事量的には変わらないか、むしろ増えるのかなとも思います。フタを開けてみなければ分かりませんが、今後も商法には振り回されそうです。

2003年06月27日

「集中日」

今日は俗に言う「集中日」でした。かなりの数の企業が今日定時株主総会を開催しました。総会はだいたい午前中に始まりますので、複数の企業の株主であっても、複数の総会に同時に出席できません。集中の理由もこのあたりなんでしょうか。日誌のネタとしてもはずせない訳で、内容が堅いですけど辛抱して下さい。
株主の経営監視が例年にも増して厳しいのが今回の特徴です。厚生年金基金連合会が総会議案の43%に反対を投じたとの報道もあり、より透明度の高い経営が求められているようです。今年度は業績不振、あるいはいろいろな企業の不祥事が目立った年度でもありますので、役員に対する退職慰労金支給に反対票を投じた株主も多いようです。
意外な感じがしたのは、厚生年金基金連合会が77%も反対に投じた「定款の一部変更」です。具体的には株主総会の特別決議の定足数の緩和のことです。
【登記一口メモ】
定款変更など重要な事項の変更は株主総会の特別決議が必要です。従来の特別決議は「総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもってすること」とされていましたが、商法改正で、定足数が緩和され「総株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもってすること」と定款で定めても良いことになりました。(商法第343条)
経済界の要請もあり、やっと実現した株主総会の特別決議の定足数の緩和です。現在、株式持ち合いが解消され、個人株主が増えた結果、定足数を満たすことが困難になってきていますので、企業側からするとどうしても承認させたい議案のひとつだと思います。企業を取り巻く環境が様々に変化する中で、経営の速度を求めると欠くことのできない承認事項だと思いますが、いくつの企業で無事承認されたんでしょうか?
P.S. なんか真面目な業界紙か新聞のコラムのようで、自分のキャラに合わない内容になってしまいました(笑)。

2003年06月25日

監査役の任期−解説

正解は監査役Aは平成19年の決算期に関する定時総会の終結の時まで、監査役Bは平成18年の決算期に関する定時総会の終結の時までです。
ちょっとひねくれた問題でしたけど、正解されましたか?
監査役Aのもともとの任期は今回の定時総会終結の時までありますので、即時就任承諾しても新しい任期は定時総会終結後にスタートします。ですから商法第273条第1項に該当し、平成19年の決算期に関する定時総会の終結の時まで任期があります。ところが監査役Bは即時就任を承諾してますから、任期は定時総会中から始まります。となると附則7条の「既存会社の監査役で平成14年5月1日後に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任する者の任期は従前どおりである」に該当しますので、従来の3年の任期になりますから、平成18年の決算期に関する定時総会の終結の時までとなります。
訳わかんないですよね。実務の現場は混乱しており、そもそもこの問題の監査役Aについても定時総会中で即時就任を承諾しているから3年だという学者もおり、意見が分かれています。そのため現場がそれに振り回されているようです。東京法務局では、「この場合の監査役Aは4年の任期という理解で対応しています。」とのお答えでしたが、他の管轄の法務局でも同じ対応ですか?との質問には「それぞれの法務局で扱いが違う」。とのことでした。見解が分かれる所があるので、即時就任承諾させずに、後日別途就任承諾書を差入て完全に4年の任期になるように慎重に対応されているところもあるようです。私は個人的には即時就任承諾したとしても、その承諾は今の任期が終了した後に就任しますという意思表示ですから、東京法務局の言う通り4年でいいのかなとも思っています。
ちょっと司法書士と司法書士受験生にしか興味なさそうな解説になってしまいましたが、こんな微妙なことに振り回されているんだなあと思って下さい。