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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2004年03月10日

非嫡出子

世間では戸籍続柄での非嫡出子区別が議論されているようです。そこで今日は「非嫡出子」のお話。一般の方には、この「非嫡出子」という言葉は、あまり馴染みのないものだと思います。実際私もこの業界に入るまで、他人の戸籍を見る機会はほとんどありませんでしたし、自分の戸籍もマジマジと見たこともありませんでした。普段戸籍をあまり見ない一般の方は、「非嫡出子」なんて知らないですよね。(昔中学校の公民の授業で多少習った記憶はありますが。)この「非嫡出子」は「嫡出子」の反対の意味があります。要は法律上婚姻した夫婦の子(嫡出子)じゃない場合が「非嫡出子」です。区別されていると問題になっていますが、実際は民法上も戸籍法上も明らかに区別されています。民法では、法定相続分も「非嫡出子」は「嫡出子」の2分の1とされていますし(民900条)、戸籍法では嫡出または嫡出でない子の別を戸籍に記載することとなっています。(戸49条)この業界に入って他人様の戸籍を見るようになってからは、この「非嫡出子」に遭遇する事も多くなりました。戸籍を見れば確かに一目瞭然ですが、別にこの区別がなくても、我々には解ります。今後この区別をなくす方向のようですが、だからといって仕事で困ることはありません。でも「非嫡出子」の記載があって仕事で困ることもあります。大抵は相続で揉めるんです。例えば、遺産分割協議が未了の状態で、戸籍の調査をしていて、この「非嫡出子」を見つけると、「この遺産分割揉めないかな?」と思ってしまいます。過去に冷遇され(一概にはそうとも言えませんが、多くは)、法定相続分もご丁寧に2分の1。それじゃあ分割協議書にハンコ押してくれないですよね。いい方向での法改正になるといいですね。(←ちょっと優等生発言)

2004年03月02日

負の遺産 その3

身内の不始末ということだから、報酬なしでやってあげたいところですけど、ハンコをもらうべきの人々の顔を思い出すと、躊躇してしまいます。でも、ここで私がやらないと更に相続人は増えていきます。次の世代になると相続人が何人になるか見当もつきません。「相続登記はお早めに!なんて自分の日誌に書いておきながら、自分のところは登記しないのか!!」とお叱りを受けそうな話ですが、実際当事者になると厳しいです。
田舎の安い土地に、高いコスト・煩雑な手間をかけて登記するのは、大変ですが、何もしないと次の世代へさらに高いコスト・煩雑な手間をバトンタッチしていく事になります。
(最終的には任意団体を法人化し、時効取得させるという荒業しか残らなくなってしまいます。)
北海道であった原野商法詐欺なども田舎の小さな土地です。コストをかけて相続人が登記するメリットは見当たりません。ちゃんと調べると全国各地にこのようなケースはいっぱいあると思います。
次の世代にある意味「負の遺産」を残さないように、しっかり今の世代で解決したいところです。
「ひいおじいちゃん」の件は、かなり大変な作業になると思いますが、人肌脱いで頑張りたいと思います。。。

2004年03月01日

負の遺産 その2

先週のつづき。(認可地縁団体の事は考えないで下さい。)
「あっちゃー。。。」私は頭を抱えてしまいました。昭和6年当時、ひいおじいちゃんは、この任意団体の代表者だったようです。代々代表者が死亡する前に若い世代名義へ登記すべきところ、たぶん戦争のドタバタで忘れ去られていたようです。
もちろん所有者である「ひいおじいちゃん」は、私が生まれるずいぶん前に亡くなっています。新代表者に変更する登記は、「ひいおじいちゃん」の相続人全員が協力しないと登記できません。
ご存知の通り、昔は子供が6・7人いてもおかしくない時代です。うちの親の世代(「ひいおじいちゃん」から見た孫)も7人兄弟です。「ひいおじいちゃん」の子供(つまり私のおじいちゃん)もずいぶん前に亡くなっています。またそのおじいちゃんの子供(私のおじ・おば)も何人かは亡くなっています。(相続人である子供が死亡していると、その子供・孫が代襲相続人となります。)
したがって、ねずみ算式に相続人が増えており、相続人確定のための戸籍等を集めるのも大変です。またおじいちゃんが亡くなった時に、遺産相続で相当もめた話を親に聞いているので、簡単にハンコももらえそうにありません(泣)。かなり大変な相続でも、赤の他人であれば、事務的に「ここに押印して下さい。」と淡々と作業を進められるのですが、身内となると、かなり厳しいです。報酬もかなり高額になりそうですし、小さな団体にはその予算もなさそうです。
つづく

2004年02月27日

負の遺産 その1

昨日の中間法人の話で、法人化のメリットについての説明が少し足りなかったなあと思っていたところ、今日それに関連する話がありました。
私の実家は宮崎です。実家の近くに小さい公民館があります。市民会館などと違って小さな地域の公民館です。(ちなみに小学校の頃、そこの敷地でラジオ体操などをしていました。)この公民館の建物・敷地の他に、お米を精米する精米所の施設など地域の人々が使う施設や土地がいくつかあります。これらの不動産の所有者は実質的にはこの小さい地域の人々の共有財産です。昨日説明した同窓会のように、この小さな地域の財産を管理する団体には、法人格がありません。(もちろん中間法人を設立すれば別ですが)。
不動産登記法では、法人格のない任意団体名での登記はできないことになっており、仕方ないので、その任意団体の代表者名義で代々登記してあります。
この代表者が死亡し、相続が発生してしまうと、その代表者の相続人全員が登記手続に協力しなくてはならなくなります。(印鑑証明書を準備したり、実印を押印したり)
そこで今回その代表者が高齢になってきたこともあり、相続が発生する前にこの不動産の名義を若い代表者に変更しようという話がありました。
いくつかの土地の登記簿謄本を取得し、内容を確認していると、その登記簿謄本に見覚えのある住所が記載してありました。なんと実家の住所です。驚いて所有者の名前を見るとそこには私の「ひいおじいちゃん」の名前がありました。
つづく。

2004年02月22日

遺産分割協議書

やっと金曜日です。なんか今週は港支部の仕事ばっかりやっていました。おかげさまで仕事が山積みです(苦)。
今日は遺産分割協議書のお話。相続が発生しても、必ず決められた法定相続分(相続人が配偶者と子供2人の場合は配偶者2分の1、子供が4分の1ずつ)で遺産を分けなければいけない訳ではありません。法定相続分と異なる内容の遺産分割に相続人全員が同意すれば、それはそれで有効です。そしてこの遺産分割協議が整うと遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印で押印します。
相続のご相談で来所頂くお客様の中には、この実印を既に押印した遺産分割協議書をお持ちの方がいらっしゃいます。ご自分で作成されたのか、何かの本を参考にして作成された分割協議書は、そのまま登記に使えないことが良くあります。せっかく相続人が集まって(場合によっては遠方から)、実印で押印しているのに、再度作成し直さなければなりません。
相続が発生してすぐであれば、「このままでは登記できないそうだから、再度作成し直したこの協議書に押印してくれ。」と言えばすみます。しかし数十年前に協議書を作成し、登記しないで放置していたようなケースですと、押印した相続人が既に死亡していたりしますので、大変です。協議書作成後に死亡した相続人の相続人(ちょっとややこしい)を新たな遺産分割協議に参加させなければなりません。そうなると昔相続人間で合意していた内容で協議がまとまらなくなる可能性も出てきます。
相続の場合は、登記をしないで放置しているケースも良くありますが、いざ登記しようとなった時に登記できなくなってしまう可能性もあります。そんな事のないように相続登記はお早めに!