2004年10月05日
遺言がなくて困まってしまう例 その2 つづき
困った山田さんのつづき。このまま山田さんが死んでしまうと、相続人は戸籍上の奥さんと子供です。場合によっては、病気が悪化して寝たきりになった山田さんの面倒を看る内縁関係の女性には何も残せません。そうなると、やっぱり遺言を作成するしかありません。結局山田さんは、子供の相続分はそのまま2分の1を確保しつつ、奥さんの遺留分(相続財産の4分の1)を害さない範囲で、今住んでいるマンションを女性に残すことにしました。勿論この女性と結婚できた際には、別の遺言を再作成することにしました。 でもそのマンションをあげる(遺贈する)場合、気を付けないといけないことがあります。ただ遺贈するという遺言では、死亡した後、戸籍上の奥さんと子供にマンションの名義を変更する手続に協力してもらわないといけません。具体的には奥さんと子供(未成年の場合はさらに手続が複雑になりますが、ここでは割愛します。)の印鑑証明書が必要になってきます。当然協力してくれる訳がありませんから、裁判で決着をつけることになってしまいます。それじゃあ、何のための遺言かわかりません。 こんなケースの場合には、遺言を実現してくれる人(遺言執行者)を定めた遺言を作成すればいいのです。登記手続も遺言執行者がやればいいですから、必要になる印鑑証明書も遺言執行者のものです。奥さんに妨害されることもありません。 山田さんのケースでは、単に遺言を作成するだけでなく、遺留分や遺言執行者なども考慮に入れなければいけませんでした。とりあえず、これで一安心です。