2005年11月08日
世間は狭い
場所柄、特に法務局に近いせいもあって、色んなお客が来る話は以前しましたけれど、見るからにそれと分かる方が来られると参ってしまいます。お医者さんの場合、見るからにそれと分かる患者が来ても、「このヤバイ患者は診ない。」とお断りすることはできません。司法書士も同様に受託拒否はできません。「国民のため受託しなければならない。」と説明されても、中々受託したくないのが本心です。
見るからにそれと分かるお客でなくても、気持ちの良い仕事ができない相手の仕事も受けたくないのが本心です。面談中の態度が極端に悪かったり、乱暴な口調で話したりする相手では、「この人のために働こう。」という気持ちが失せてしまいます。内心はらわたが煮えくり返る思いをしながら、我慢する場合もあります。
全てが優良顧客であれば、そんな我慢もないのでしょうが、現実はそう甘くありません。どの程度であれば受託しなくて済むかというガイドラインも不明確ですから、対応に困ってしまいます。
辛くても受託拒否できない場合の多い登記業務ですが、今日受託してはいけない珍しいケースに遭遇しました。受任している裁判関係の事件の、まさにその相手からの依頼です。双方の利害が当然衝突してしまいますから、受託できなくて当然です。
訴訟代理人の少ない地方、例えばその地方では、訴訟代理人のなり手が一人しかいないような場合、事件の両方の当事者が、その唯一の事務所を訪れることも珍しくないのかもしれません。ところがこちらは大都会、以前の特別研修で習ったものの、そんなレアケースに遭遇するとは思っていませんでした。思ったより世間は狭いのかもしれませんね。