2006年11月24日
認知症の女性宅を許可を得ず担保
「司法書士のイメージアップになれば」との思いで、ブログを更新しているのですが、新聞に報道されてしまっては仕方ないです。
またまた司法書士の失態。。。
認知症の女性宅を許可を得ず担保に 熊本法務局 元後見人を処分 玉名市の介護施設に入居している認知症女性の成年後見人だった熊本市の司法書士(56) が、家庭裁判所の許可を得ずに女性宅を借金の担保(根抵当権設定)に入れたなどとして、 熊本地方法務局から戒告処分を受けていたことが22日、分かった。 熊本家裁玉名支部は02年7月に後見人を解任。法務局は05年7月に戒告処分にした。 =2006/11/23付 西日本新聞朝刊より引用= |
以前東京で揉めたケースとは異なります。司法書士が高い報酬を得ているなどの部分は0です。強いて挙げるなら、
自分が後見人として関与している案件の登記申請を自ら行ったぐらいでしょうか。報道によると根抵当権の極度額は800万円。
悪い司法書士が得する場面でもなんでもありません。
ここから私見です。事実と違う部分もあると思いますが、
リーガルサポートの本部の法人後見委員としての経験からこの事件を想像してみます。ただの想像ですので、
事実と違うところがあるかもしれません。
事件の起こったのが2001年12月、同じ月に根抵当権を設定しています。これは、
後見人に就任してタイミング良く、根抵当権設定の話があったのではないでしょう。恐らく、根抵当権を設定する障害があったので、
登記を担当した司法書士が後見人に就任したと考えたほうが自然です。
司法書士が成年後見制度の拡充のため、リーガルサポートが法務大臣の設立許可を受けたのが1999年12月。
この司法書士の就任はリーガルサポートが設立してまだ時間がさほど経っていない時期です。
今でこそ、法人後見委員会なども機能し、リーガルサポートに所属している司法書士も増えましたが、事件の起こった2001年12月は、
まだまだ未成熟な頃。未成熟だから、こんな事件を起こしていいというのは言い訳にもなりませんが、
成年後見という分野での不慣れな部分が出てしまったのではないかと思います。
マニュアルも不十分で、
また熊本を含め地方でのリーガルサポートの支部が支部としてうまく機能していなかった時期の特有の問題ではないでしょうか?
後見人となった地方の司法書士を十分サポートできなかったのは、組織にも一因があるように思えます。
決して後見人として本来あってはならない事件ですから、こんな判断をしてしまった司法書士は、許されないものと思います。しかし、
担当した司法書士が気軽に相談しうる先を提供できなかったのは、組織の体制にも問題があったのかなと思ってしまいます。
地方では不動産登記が主流、成年後見の担い手は数える程しかおりません。新人を含め、
新たにこの成年後見の分野で活躍したいと思っている司法書士が安心して業務が出来る環境を整えるため、
本部支部での体制を強固なものにしなければいけません。
ちょっと自分の所属している本部批判にも取られてしまうかもしれませんが、本部は本部で相当やっているんです。
うまくいかないもんですね。。。