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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年12月08日

株主総会議事録への押印の有無

5月の新会社法施行でのドタバタ騒ぎから7ヶ月が過ぎ、当時の混乱が多少懐かしく思える余裕が出てきた今日この頃、
商事法務より11月30日臨時増刊号「株主総会白書」が送られてきました。

6月の定時総会の準備をしていた頃、関与先以外の他社の株主総会対応の動向が気になっていましたが、
やっと各社のアンケートが集計されたようです。

会社法か商法のどちらで開催をしたか(旧商法が65.4%)
などのアンケートに始まり、司法書士の関心の高い分野でも色々なアンケート結果が出ております。購入されてない方はこの機会に是非。

ご存知のように会社法では株主総会議事録には、総会議事録作成に係る職務を行った取締役の氏名を記載する必要があります。
これに関しては、当初の予想通り、代表取締役または総務担当取締役がその大部分を占めていました。

議事録の完成まで数日を要した関与先もありましたが、商事法務の集計では、総会当日に議事録の作成が終わった企業が25.4%
と最も多かったようです。

たぶん司法書士が最も関心の高い質問が「株主総会議事録への押印の有無」でしょう。
会社法での株主総会議事録には出席取締役の記名押印がいらなくなりました。議案を印刷しただけの
「どこにもハンコが押されていない株主総会議事録でもOK」というのに違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

私の関与先には、「今回は他社動向を見守りましょう。」と従来通り「押印した議事録」の作成をお勧めしていたのですが、
実際のアンケートの結果はどうなんでしょう?

資本金5億未満の会社では、議事録の押印を行った企業は83.3%と想定の範囲内(古(笑)。)ですが、
大企業ともなるとちょっと違うようです。

さて問題。
資本金1000億円超の企業のうち、株主総会議事録に押印を行ったのは、
全体の何%?

A 32.2%
B 47.4%
C 51.8%
D 70.9%

「議事録の真正担保と手間いらず」どちらを優先したんでしょう?

正解は→

 

2006年11月21日

中小企業の決算公告の実際

今日の日経にも、先日話題にした「近未来通信」の記事が出ていました。本社・支店を閉鎖してしまったようです。
今後大きな問題になりそうですね。

ここまでの報道で、「近未来通信」は確定的に悪っぽい会社との印象を持つ方が多いでしょうが、
先日の官報で決算公告をしていなかったというのは、実際どうなんでしょうか?

最新の中小企業庁の「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート」によると、決算公告を行っていると答えた方は、
全体の何%でしょう?

A  0.4%
B  4.4%
C 44.4%
D 94.4%

こんな問題を出していましたが、実態は4.4%です。
かなりのボリュームがあるアンケートに真面目に答えるような経営者が母体となっていますから、実際には更に下回る数字ではないでしょうか。

この4.4%という数字を見て頂いて、お分かりになるように、少なくともこの「決算公告」に関していえば、法令順守は遠い状況です。
有限会社から株式会社への移行してしまうと、デメリットとして、決算公告義務が考えられますが、本当にデメリットとなるまでは、
まだまだ遠い気がします。

「会社法976条2項 百万円以下の過料に処する。」が実際には、お飾りのような条文になっているのが、その原因のひとつです。
(取り締まりがなければ、野放しですからね。)

実際に官報を見れば、理解が深まるかもしれません。

これが今日の官報

画面右の正方形の枠に掲載されているのが、「決算公告」。左の長方形の枠が「資本金の額の減少公告」です。「資本金の額の減少公告」
を見て、違和感ありませんか?

そう、「資本金の額の減少公告」+「決算公告」になっています。
ちゃんと決算公告をしていれば、

「貸借対照表の開示状況は次のとおりです。」として、横に決算公告を掲載せず、
「掲載紙 官報 掲載の日付 平成 年 月 日 掲載頁○○頁(号外第○○号)」
と過去に掲載をした情報を載せます。

資本金の額の減少公告のように、決算公告をやっていないと登記できないとかの特殊事情がない限り、
中小企業の決算公告はやっていないというのが現実です。法令順守いずこに?

 


 

大企業となると、法令順守は中小企業とは段違いとなりますが、
先日セクハラで問題になった某大企業所属の某アナウンサーが他部署に異動するようです。

さて、問題。
このアナウンサーの移動先は?
A 人事部
B 総務部
C コンプライアンス推進室
D 経理部

正解は→C

2006年11月20日

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2006年10月25日

合同会社(日本版LLC)への組織変更 2

英語表記だとカッコいいLLC(Limited Liability
Company)
こと合同会社
の組織変更のつづき。
昨日は日本語の合同会社がイマイチの名称だというだけのくだらない内容でしたので、今日はANAのスキームを説明する前に、
「合同会社とは何か?」からご説明します。

合同会社(LLC)は、法人格があり、出資が有限責任であり、
また内部のルールが柔軟な会社法から導入された新しい会社類型です。
まだ分かりにくいですね。。。

会社法が施行されるまでの日本の会社類型は、出資者は出資額の範囲しか責任を負わない「有限責任社員」で構成される「株式会社」と
「有限会社」、そして責任が出資額に限定されない「無限責任社員」が含まれる「合名会社」と「合資会社」
という4パターンの会社類型しかありませんでした。

合同会社は、
今までの合名会社や合資会社と違って、出資額までしか責任がありません。
かといって株式会社のような利益配分が出資した金額の比率に拘束されるようなタイプでなく、内部で決めたルールで柔軟に運営できます。

ちょっとは分かってきましたか?

元々は「アメリカにあるLLCが便利そうだなあ。」という経済界の熱い要望で会社法に導入される目玉でもありました。

まずは、比較表を見て下さい。(こんな表でも作成には時間がかかるんです。。。)

 


 


株式会社(注1)


有限会社(注2)


LLC (注3)


LLP


(注4)


法人格





×


パス・スルー課税


×


×


×



出資者の有限責任






内部自治






組織変更





×


決算公告義務



×


×


×

 

style="MARGIN-RIGHT: 0px">

(注1)譲渡制限のある非公開株式会社
(注2)かつての有限会社、現行の特例有限会社
(注3)合同会社
(注4)有限責任事業組合

 

明日は合同会社ネタのつづきでなく、軽めネタがいいですか?

2006年09月13日

一般社団法人のお話 終わり

 数日続いております「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」のお話も今日でおわりです。
せこいネタ続けて失礼しました。

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されると登記事項が出てくるところまでご説明しました。具体的にはこうなります。

例:
有限責任中間法人宮崎西高校理数科同窓会→一般社団法人宮崎西高校理数科同窓会
との名称変更の登記。

ついでに言うと、下記事項も変更しなければなりません。

style="MARGIN-RIGHT: 0px">

有限責任中間法人      一般社団法人
理事の氏名及び住所  → 理事の氏名
代表すべき理事の氏名 → 代表理事の氏名及び住所
監事の氏名及び住所  → 監事の氏名

どことなく従来の株式会社風な登記事項となります。何気に大変だった理事の住所が登記事項でなくなったのは、おお助かりですね。

そして無限責任中間法人は、特例有限会社風に「特例無限責任中間法人」となり、
施行後1年内に一般社団法人の移行手続きを取らないと、新会社法施行前の1円会社風に「解散」となります。
実際はこの無限責任中間法人は多くないと思われますが、気づいたら職権解散されていたという話はどこかでありそうですね。

構成メンバーが多い中間法人も多いですから、この「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の説明がまた大変そうです。。。
(きっとこうなるだろうな
(泣)。)かつて大ホールで開催された総会で眩しいスポットライトを浴びた忌まわしい記憶が蘇ります。。。