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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年01月31日

西田憲正社長と法令順守

 


最近ニュースが多すぎてしまうので、
ホリエモンと取締役欠格事由については次回。今日はあの強烈キャラ、東横インの西田憲正社長と法令順守について。

 


「皆さんは交通ルールを守ってますか?」

 


昨日「法令順守が一番」と書いたものの、東横インの社長の会見などを見ると
(社長個人の問題という点はありますが)、日本の社会ってこんなもんで回っているんだよなぁと思ってしまいます。いかにもお金持ち風、
福耳の西田憲正社長の会見は、視聴者にかなり反感を持たれてしまうものではありましたけれど、正直従来(昔)
の日本の社会はあんなものとも思ってしまいました。会見見て怒った視聴者には悪いけど、見ていて笑ってしまいました。

 


法令順守となるようアドバイスする立場にありますけれど、
例えば株式会社で決算公告を官報に掲載している会社はほとんどないのが実情ですし、
役員変更登記などの各種登記もたいていは変更後2週間以内に登記がなされていないのが現実です。「招集通知?出してません。
悪いと知っててやりました。」と西田社長的な中小企業もいっぱいあります。あまりにも「法令順守」「法令順守」と声高に言えば言うほど、
お客は遠のいていきます(笑)。「あの先生、固いなあ。融通きかねえよ。」みたいな事は、いっぱい言われてきました。

 


今回のライブドア騒動・耐震強度偽装事件などは、これらの「法令順守」
の必要性を再認識するいいきっかけになりました。しかしながら「赤信号、
みんなで渡れば怖くない。」
という笑えない慣習が日本の社会に根強く残っているのも現実です。

 


昔、私が小学生だった頃の道徳の授業で、田舎で、
周りに人っ子一人いないような道路(当時の宮崎は割りとそうでした。)にある信号、先生の「赤信号でも、渡りますか?」
との問いかけにクラスの意見が大きく割れたのを思い出してしまいました。(当時の私は、渡って当たり前との意見でしたが(笑)。)

 


ケースバイケースなんでしょうけど、私は「法令順守」
を叫ぶお堅い商売べたな先生のスタンスでいきます(笑)。東京地検に怯える日々は嫌ですもんね(笑)。

 

2006年01月27日

証券取引法違反と取締役の欠格事由

 

 このサイトのアクセスログを見てみると、
架空請求業者である『司法管理通達局』で検索されている方が多いようです。
うちの親のように変なお手紙が来られている方がまだまだいらっしゃるようです。
そんな訳で架空請求のつづきも書かなければいけないところですが、今日はまた証券取引法違反のお話です。

 

 


証券取引法158条の違反容疑のホリエモンですが、
逮捕されたからといって自動的に取締役でなくなる訳ではありません。現行の商法では次に該当すると取締役でなくなります。

 


【商法】


第254条ノ2 左ノ者ハ取締役タルコトヲ得ズ

1
成年被後見人又ハ被保佐人

2
破産手続開始ノ決定ヲ受ケ復権セサル者

3
本法、株式会社ノ監査等ニ関スル商法ノ特例ニ関スル法律、
有限会社法又ハ中間法人法ニ定ムル罪ニ因リ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リタル日又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ2年ヲ経過セザル者

4
前号ニ定ムル罪以外ノ罪ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終ル迄又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者 但シ刑ノ執行猶予中ノ者ハ此ノ限ニ在ラズ

 


上記商法が今年の会社法で下記のように変わります。ちょっと比べてみて下さい。
(これまた長めですけど、受験生はポイントとなる部分を暗記して下さい(笑)。)

 


【会社法】


第三百三十一条 次に掲げる者は、取締役となることができない。


一 法人


二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者


三 この法律若しくは中間法人法(平成十三年法律第四十九号)の規定に違反し、
又は証券取引法第百九十七条第一項第一号から第四号まで若しくは第七号若しくは第二項、第百九十八条第一号から第十号まで、
第十八号若しくは第十九号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号まで、第二十一号若しくは第二十二号、
第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十五号若しくは第十六号の罪、民事再生法
(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、
第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律
(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法
(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、
第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、
第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、
又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


四 前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、
その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

 


昨日に引き続き長くなってしまいましたが、
違いがお分かりになりましたでしょうか?緩和された部分として「破産」しても取締役になれるのが、お分かりになると思います。
中小企業の社長も再起し易くなるので、この部分では規制緩和です。

 


逆に厳しくなった部分として、まさにホリエモンのケース、
証券取引法違反が加わります。やむを得ず、破産に至った中小企業の社長と違って、
証券取引法違反をやってしまった者に簡単に再起されては困るという趣旨です。会社法の勉強を始めた頃は、「ふ〜ん。」
とざっと読んだ部分ですが、これだけ注目されると、「会社法も良く手当てしてあるなあ。」と感心してしまいます。

 


これだけ読むと、ホリエモンは2年は取締役になれず、
簡単には再起できないように思えますが。。。

 


姑息につづく。

 

(さらに…)

2006年01月17日

ライブドア家宅捜索 株式分割その1


ヒューザー、阪神大震災11年などのニュースも見事に吹き飛びましたね。
(タイミングが良すぎるのが気にはなりますが。。。)マスコミはもちろん、多くのブログも、今日は『ライブドア家宅捜索』
一色です。このニュースがなければ、個人的には「漫画家加藤芳郎氏」の哀悼記事でもテーマに書こうと思っていました。

 


IT関係のIPOがらみの仕事もしていますので、
株式市場に影響が大きすぎると、そちらにも影響してきますので、あまり大騒ぎされたくないという個人的な思惑もあります(笑)。しかし、
今日はこのネタから逃れるわけにはいきません。このテーマに対して、色んな側面からのアプローチが考えられますが、
司法書士でもありますので、まずは『株式分割』あたりをネタにします。

 


個人的に株式分割という言葉を知ったのは、今から17〜8年前のこと。
当時社会人になりたての私も、他の社員同様ロイターの自社株(厳密にはストックオプション)を持っていました。
朝自社の端末でロンドン市場の株価をチェックして、1日をスタートさせていたのですが、ある日、
一挙に株価が約4分の1に下がった日がありました。

 


「なんじゃ、こりゃ???」一人狼狽していたのですが、
実際には1株を4分の1にする株式分割が行われただけのようでした。あまり資金的な余裕のない個人投資家は、
あまりにも高い値がついている株式には、手がでません。ところが4分の1、10分の1と株式分割をすることによって、
そんな個人投資家も手が出る値になります。「そういった部分の需要が株式分割後の株価を押し上げるのだ。」と当時の先輩に教わったのが、
株式分割との出会いでした。

 


久しぶりにつづく。

 

2006年01月11日

どうなる法務省令?


昨日のような一般受けする(?)ネタを探していましたが、
9時になってしまったので、散々悩んだ末、一般の方には興味が相当薄いと思われる新会社法省令案について。

 


今日の日経新聞に載っていましたが、法務省令の内容(特に、
社外取締役に関する記述(職歴・報酬額などの情報開示))を巡り、法務省と経団連との間で揉めているようです。
情報開示のボリュームは相当なもんです。(15項目を超えそう。)

 


5月施行される見込みの新会社法ですが、
約300項目の細かい点は法務省令で定まることになっています。先月1ヶ月間、パブリック・コメント手続が実施されていましたが、
これを受け、今月中にも制定される予定です。(ちなみに法務省令案については、
こちら
。)

 


すんなり決まるかどうか、どんな内容になるか、
我々は注目しているところですが、一般の方の興味は如何なものでしょうね。興味ある方のみ、じっくり法務省令案をお読み下さい
(笑)。かなり努力しないと会社法の対応が厳しいという雰囲気は伝わるかと思います。

 


蓋を開けてみないと何とも言えませんので、内容が薄くなってしまいました。。。

 


追伸 港支部の皆さんへ


今日、FAXにて詳細が送られたと思いますが、1月27日の新年会、
忘れずに予定表にご記入下さい。ワインが不得意な方は日本酒・焼酎の持ち込みもOKにしてもらいました。是非是非ご参加下さい。

2005年12月09日

みずほ証券のジェイコム株大量発注ミス


「顧問先あるいは関与先の会社が上場を果たす。」・・・
登記関係のみの形でもそういった会社の晴れの日は、うれしいもんです。もちろん無事上場を果たすために、司法書士として、
いつも以上の注意力をもって仕事に取り組みますし、無理なスケジュールに多少の(?)文句を言いながら、お手伝いをします。
事務所総動員で、大急ぎでチェックしたりと上場までは、大変な場合があったりしますが、やっと上場の日が来ると、
それまでの苦労が報われる気がします。(例え報酬として、ストック・オプションをもらってなくても(笑)。)

 


譲渡制限をはずしたり、公告する方法を変更したり、
新株を発行したりと様々な登記をジェイコムから受けられた司法書士もいると思います。「1株61万円」→「61万株1円」
司法書士がこんな間違いをしてしまって登記できなくなるのも困りますが、みずほ証券の大量発注ミスは桁違い。既に270億円の損失
(昨日の時点)になってしまいました。

 


ジェイコムにとって、また岡本泰彦社長を始めとした従業員にとっても、
昨日は記念日になるはずだったのでしょう。ジェイコムは何もできず、ただ市場に任せるがまま。お気の毒としか言いようがありません。

 


ジェイコム関係者の無念な思いもわかりますが、
みずほ証券の発注ミスをしてしまった担当者の事を考えると、言葉もありません。「担当者にとって、最悪の結果にならなければなあ。」と、
市場関係者に起こった過去の嫌な事件を思い出してしまいました。。。

 


「担当者の方、くれぐれも変な気を起こさないで下さい。」