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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2005年10月11日

知ったかぶり新会社法 類似商号

一晩寝て、体力が回復したようです。お騒がせしました。今日は過去に5回は登場した類似商号のお話。

会社法の改正で類似商号制度は廃止になります。これであの面倒な類似商号の調査が不要になるかというと、そういう訳でもありません。類似商号の調査をしなくても、また仮に類似商号に該当する会社があったとしても登記は問題なく完了します。それじゃあ、何が問題なのでしょうか?

新会社法第8条「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」
不正競争防止法第3条「不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第5条第1項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。」同第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第8条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。」(行数かせぎにつき勘弁して下さい(笑)。)

つまり「仮に登記することができるとしても、他社の商号を使用し、他社の利益を侵害してしまうと訴えられますよ。」ということです。現在よりも広い範囲での類似商号調査をする必要がでてきます。(ある商号でドメインが取得できるか、商標登録されているか等も調べたほうがいいのかもしれません。)

仕事が楽になるどころか、逆に範囲まで拡大してしまう類似商号調査ですが、今日、類似商号の調査をしていないのに、「その商号は使えません。」と結論をお伝えするという変わったケースがありました。というのも依頼者の会社名と全く同一、同種の目的の会社の登記を最近やったばかりだったからです。

依頼者は、私の「商号を変更しないと無理!」という説明を聞きながら、全く同一の会社名の登記簿謄本のコピーを恨めしそうに眺めていました。

2005年10月03日

動産譲渡登記と債権譲渡登記

NHKのお話にすべきところですが、今日から施行された法律がありますので、そのお話。先月末は例によって債権譲渡の日でした。(過去に徹夜を余儀なくされた債権譲渡に関する日誌はこちら。)この債権譲渡登記の申請が終わると、1〜2日後に、東京法務局民事行政部債権登録課より、申請の代理人のところに、「こんな登記がされましたよ。」と通知書が送られてきます。いつもは80円の封筒に入って送られてきますが、今回は角3サイズの大きめの封筒が送られてきました。

「何だ?これ?」と思って開封すると、いつもの通知書の他に、「債権譲渡登記(質権設定登記)の申請をされる方へ(お知らせ)」なるものが同封されていました。そうです。「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」(長い。。。)が今日から施行されるに伴って、申請データに変更がありますよ、という恐怖のお達しでした。ご丁寧に申請データ使用まで同封されています。心配なので、また申請データの再チェックしなければなりません(苦)。既発生債権のみであれば変更がないように思えるんですけど、どうなんでしょうか?分かる方、この内容に対応したソフトがあるのをご存知の方いますか??

今回は、動産譲渡登記制度の創設と債務者が特定されていない将来債権の譲渡についても登記可能となる債権譲渡登記制度の見直しです。企業が有する動産や将来取得する債権についても、第三者対抗要件が具備できる仕組みですから、今までにない資金調達の道が開けたことになります。需要は当然ありますので、そのうちに依頼がきそうではありますけど、早速動産登記をやったなどの情報がありましたら、是非教えて下さい。改正直後は、正直辛そうですね(笑)。

2005年09月01日

共同代表の定め 2

とうとう9月になってしまいました。この調子だと1年もあっという間に終わりそうです。子供の頃大嫌いだった9月1日も、長い夏休みがあったから嫌いだった訳で、ほとんど夏休みらしい夏休みがない今は、どうって事はありませんね(笑)。さて、昨日のつづき。

なぜ問題が「現在の」と言うと、新会社法との関係です。ご存知のように新会社法が来年5月頃施行されますが、それに伴い施行後は、それまで当然に登記事項であったもので、登記事項にならないものが出てきます。株式会社の場合は、去年登記できるようになった『株券不発行の定め』、多少の例外はありますが、『社外取締役』、そして昨日申請した『共同代表の定め』などが登記事項から削られます。当然施行日以降は、これらの登記はできなくなります。

実務上、そんなに多くはなかった『共同代表の定め』ですが、今後は登記簿で公示する事もなくなります。では共同代表の規定はどうなるかというと、単純に内部的な制限として扱われるだけとなります。「一人で無茶するなよ。」という社内ルールがあるだけですね。

「共同代表、来年はなくなりますよ。」と説明しましたので、わざわざ登記しないだろうと思っていましたが、短期間でも実益があったようで、結局登記する事になってしまいました。当然のような登記事項が消えていく、時代の流れなのでしょうが、ちょっと寂しい気もします。

今後は新会社法を踏まえてのアドバイスが当然に必要とされます。40歳になっても「勉強、勉強」ですね(泣)。

2005年08月31日

共同代表の定め

今日『共同代表の定め』の登記申請をしました。以前なら「だから何?」と話題にもならないところですが、ネタになる背景があります。

一般の方には、この『共同代表の定め』馴染みがないかもしれませんので、多少解説します。実務上そう多くはありませんが、今の商法では登記事項です。例えばある会社に代表取締役A、代表取締役B、取締役Cがいるとします。この場合、この会社の代表権があるのは、当然代表取締役Aと代表取締役Bになります。(取締役Cは代表権のない平取締役です。)しかしなんらかの理由で、この代表取締役A、代表取締役Bの代表権に制限を設けるのが『共同代表の定め』です。

「代表取締役A及び代表取締役Bは共同して会社を代表するものとする。」この規定を置くとA、Bそれぞれ単独の代表権がなくなります。何をするにもAB一緒にやらなくてはいけません。またある代表取締役の代表権のみ制限をかける方法もあります。「代表取締役Bは代表取締役Aと共同してでなければ会社を代表できない。(片面的共同代表)」この規定があると代表取締役Bは単独では何もできません。この場合Aには制限がありませんからAは通常の代表取締役です。代表取締役Bは、ほっとくと何をしでかすか分からないような場合には利用できる制度です(笑)。これらは登記事項ですから、現在の会社の登記簿謄本には記載されています。

仕組みはご理解頂けたとして、「じゃあ何がネタ?」と思われるかもしれません。問題はこ「現在の」会社の登記簿謄本には記載されているという点です。

解説が長くなったので、つづく。

2005年08月04日

LLP つづき

【業務連絡】
8月5日(金)、8月8日(月)は夏休みを取らせて頂きます。8月9日から平常営業ですが、その日でとうとう40歳です(泣)とにかく30代最後の夏をエンジョイしてきます!

さてLLPのお話のつづきです。
LLPはLLC(合同会社)と違って会社ではありません。有限責任事業組合という名のとおり組合です。

LLPの主だったポイントは
@出資比率と異なる利益配分が可能である点
A出資額以上の責任がない有限責任である点
BLLPには課税されず、出資者に課税される点
にあります。

資金的に余裕はないが、技術力がある大学教授が10%の出資、提携する大企業が90%を出資した場合、株式会社と違って、出資比率が10%しかない大学教授に50%の利益を分配することができます。また仮にビジネスに失敗したとしても出資額以上の責任を負うことはありません。

使い勝手が良いので、色々なタイプのLLPが今後設立されそうです。この件で、新聞では「約1週間で登記は完了」と記載していましたが、混んでいる港出張所は1ヶ月弱です(笑)。