本文へスキップ

司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年01月27日

証券取引法違反と取締役の欠格事由

 

 このサイトのアクセスログを見てみると、
架空請求業者である『司法管理通達局』で検索されている方が多いようです。
うちの親のように変なお手紙が来られている方がまだまだいらっしゃるようです。
そんな訳で架空請求のつづきも書かなければいけないところですが、今日はまた証券取引法違反のお話です。

 

 


証券取引法158条の違反容疑のホリエモンですが、
逮捕されたからといって自動的に取締役でなくなる訳ではありません。現行の商法では次に該当すると取締役でなくなります。

 


【商法】


第254条ノ2 左ノ者ハ取締役タルコトヲ得ズ

1
成年被後見人又ハ被保佐人

2
破産手続開始ノ決定ヲ受ケ復権セサル者

3
本法、株式会社ノ監査等ニ関スル商法ノ特例ニ関スル法律、
有限会社法又ハ中間法人法ニ定ムル罪ニ因リ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リタル日又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ2年ヲ経過セザル者

4
前号ニ定ムル罪以外ノ罪ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終ル迄又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者 但シ刑ノ執行猶予中ノ者ハ此ノ限ニ在ラズ

 


上記商法が今年の会社法で下記のように変わります。ちょっと比べてみて下さい。
(これまた長めですけど、受験生はポイントとなる部分を暗記して下さい(笑)。)

 


【会社法】


第三百三十一条 次に掲げる者は、取締役となることができない。


一 法人


二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者


三 この法律若しくは中間法人法(平成十三年法律第四十九号)の規定に違反し、
又は証券取引法第百九十七条第一項第一号から第四号まで若しくは第七号若しくは第二項、第百九十八条第一号から第十号まで、
第十八号若しくは第十九号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号まで、第二十一号若しくは第二十二号、
第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十五号若しくは第十六号の罪、民事再生法
(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、
第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律
(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法
(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、
第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、
第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、
又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


四 前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、
その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

 


昨日に引き続き長くなってしまいましたが、
違いがお分かりになりましたでしょうか?緩和された部分として「破産」しても取締役になれるのが、お分かりになると思います。
中小企業の社長も再起し易くなるので、この部分では規制緩和です。

 


逆に厳しくなった部分として、まさにホリエモンのケース、
証券取引法違反が加わります。やむを得ず、破産に至った中小企業の社長と違って、
証券取引法違反をやってしまった者に簡単に再起されては困るという趣旨です。会社法の勉強を始めた頃は、「ふ〜ん。」
とざっと読んだ部分ですが、これだけ注目されると、「会社法も良く手当てしてあるなあ。」と感心してしまいます。

 


これだけ読むと、ホリエモンは2年は取締役になれず、
簡単には再起できないように思えますが。。。

 


姑息につづく。

 

(さらに…)

2006年01月26日

証券取引法解説 その2

 


昨日は、ネットワークの復旧を待たずして支部長会に出たのですが、終了時には復旧していました。
おかげで安心して飲んでしまったため、おとといのつづきをアップできませんでしたので、今日は、前々回のつつき。
ずいぶんもったいぶった前振りをしていましたが、証券取引法違反のお話。(写真は事務所の近所から見た六本木ヒルズです。)

 


証券取引法158条に違反すると証券取引法197条が待っているという話までしましたが、
この証券取引法158条、証券取引法であと1条だけ関連する箇所があります。500万円ではビクともしないホリエモンもこれは大変でしょう。
長いけど、気合入れて読んで下さい。

 


【証券取引法】


第173条 第158条の規定に違反して、風説を流布し、
又は偽計を用い、当該風説の流布又は偽計(以下この項において「違反行為」という。)により有価証券等の相場を変動させ、
当該変動させた相場により、自己の計算において、
当該違反行為が行われた日から1月以内に当該有価証券等に係る有価証券の募集により当該有価証券を取得させ、
又は当該有価証券等に係る有価証券の売買その他の取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、
外国市場証券先物取引若しくは有価証券店頭デリバティブ取引をした者があるときは、
内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、
次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のいずれにも該当する場合は、当該各号に定める額の合計額)
に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。


1.違反行為により有価証券等(当該有価証券等に係る有価証券店頭指数を含む。
次号において同じ。)の相場を騰貴させ、又は上昇させ、当該騰貴させ、
又は上昇させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の売付け等
(当該違反行為が行われた日から1月以内に行われたものに限る。以下この号において同じ。)
をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額


イ 当該有価証券の売付け等についてそれぞれの有価証券の売付け等をした価格にその数量を乗じて得た額の総額


ロ 当該有価証券の売付け等について違反行為の直前の価格として政令で定めるもの
(次号イにおいて「違反行為の開始前の価格」という。)
に当該有価証券の売付け等の数量を乗じて得た額


2.違反行為により有価証券等の相場を下落させ、又は低下させ、当該下落させ、
又は低下させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の買付け等
(当該違反行為が行われた日から1月以内に行われたものに限る。以下この号において同じ。)
をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額


イ 当該有価証券の買付け等について違反行為の開始前の価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額


ロ 当該有価証券の買付け等についてそれぞれの有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額の総額

 

 


条文があまりにも長いので(行数かせいでいるだけという気もしますが(笑))、
ちょっとお分かりになりにくいと思いますが、要は『不正に得た利益は全部吐き出せ!』ということです。

 


そして昨年の話題を独占していたあの人、小泉総理が登場します。同条中、
「内閣総理大臣は、(省略)課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。。。。」とあります。

 


なにかと世間を騒がせた小泉総理とホリエモンが直接絡みます。
考えただけでもワクワクしますね(笑)。

 


証券取引法は、直接の専門分野ではないので、解釈に誤りがあるかもしれません。
ただこういう条文があるんだなということだけでもご理解頂ければ幸いです。

 

 

2006年01月25日

東京拘置所のホリエモン状態です。

 


ルーターが壊れ、急遽入れ替えたのですが、ネットワーク全体が絶不調です。
「インターネットはできないのですか?」とまるで東京拘置所のホリエモンのような事をぶつくさ言っています(泣)。

 


パソコンなどに依存しすぎて生活しているのを強烈に感じます。本来であれば、
昨日のつづきですが、支部長会に出席する時間が近づいてきました。支部長会終了後、第1ブロックの研修の打ち合わせが終わったら、
事務所に戻ります。アップできるようであれば、アップします。(戻る時間は遅いと思いますが、業者は作業している気がします。。。)
 

 

2006年01月24日

証券取引法違反解説 堀江貴文ライブドア社長が逮捕

 


証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑で堀江貴文ライブドア社長が逮捕されたニュースは、あらゆるマスコミに取り上げられました。
「ホリエモン、ホリエモン」と特集が組まれたり、番組の時間を延長して報道されたりしていますので、「もうホリエモンの話はいいよ。」
と言う方もいるかもしれませんが、今日はホリエモン逮捕のお話。(架空請求ネタは後日。)

 


堀江貴文ライブドア社長が


逮捕されたのは、証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑です。
しかし一般の方は証券取引法の条文に触れる機会がないと思いますので、ここで紹介しておきます。

 


【証券取引法】


第158条 何人も、有価証券の募集、
売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、
外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、
風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

 


この証券取引法158条に違反すると証券取引法197条が待っています。

 


【証券取引法】


第197条 次の各号のいずれかに該当する者は、
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


(1〜6省略)


7.第157条、第158条、第159条第1項若しくは第2項
(これらの規定を同条第4項及び第5項において準用する場合を含む。)又は同条第3項(同条第4項において準用する場合を含む。
)の規定に違反した者

 


この手の文言であれば、住居侵入など刑法の決まり文句
「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とかが馴染みがあると思います。ところが、この証券取引法197条をよく読むと
「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」とあります。この「併科」がポイント。要は「懲役と罰金がダブルもあるよ。」
ということです。今回は市場に対する影響も大きいので、当然併科も考えられます。

 


「懲役はキツイけど、
ホリエモンにとっての500万円という罰金は大したことないじゃないか。」

 


おっしゃる通り、ジェット機を所有している人間に500万円は、
全然平気でしょう。容疑を全面否認しているホリエモンですが、ホリエモンが最も恐れているのは、別にあります。「俺は小菅
(東京拘置所があります。)なんか嫌だ。(小菅が地元の方すみません(笑)。)六本木ヒルズがいい。」という恐怖ではありません(笑)。

 


なぜか小泉総理が登場することになる「ホリエモンが最も恐れているもの」
については、次回。
 

 

(さらに…)

2006年01月23日

私の親が振込め詐欺に 3

 


今週は、例の法人後見委員会を始めとして、支部長会、ブロック支部長会、
支部のセミナー・新年会と会務が目白押しです。更新が厳しい今週ですが、応援宜しくお願いします。

 


今週の行事で気がかりなのは、支部新年会です。
強気に大き目の会場を押さえたものの、参加者の出足が悪く、苦戦しております。(
補助者の方の参加もオッケーです。

是非ご参加下さい。)

 


さて前回のつづきです。

C通信販売契約会社、並びに運営会社とありますが、
そもそも原告であれば具体的な社名が記載されて当然です。しかも仮に通販で購入していたとしても、相手は1社のみ、「並びに運営会社」
って意味が分かりません。心当たりあって電話もらえればラッキーといったところでしょうか?

 


D当たり前ですが、訴訟が提起されれば当然に、被告のところに訴状が届きます。
「書類通達後」とありますが、普通は「訴状送達後」です。またありそうですけど、「指定裁判所」という言葉はありません。「管轄裁判所」
の誤りです。この文章をじっくりお読み頂くと分かりますが、「出廷となります。」ではなく、「出廷となます。」と記載されています。
私のタイプミスではありません(笑)。適当に作文していますから、誤字脱字が多いのも架空請求ならではです。

 


E架空請求になぜか多いのが「動産物」。あえて記載するなら「動産」
で十分です。

 


F「執行官立会いのもと強制執行」
と一般の方が読むと確かにビビリそうな文言ですが、給与などの債権執行、不動産の差押えの主たる執行機関は「執行裁判所」。「執行官」
が登場するのは「動産執行」や「動産・不動産の引渡しまたは明渡しの執行」の場合です。どこから、
こんなデタラメ文書を手に入れるんでしょうね。

 


延々間違い探しが続きます。また明日。