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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2005年09月29日

NHK受信料と法的手段 その4

昨日はサーバーの調子が悪く、11時ぐらいまで格闘していましたが、結局アップできずに終わりました。失礼しました。

それではつづき。昨日は受信料不払者は、どう足掻いてもNHKに債務名義をGETされてしまうお話でした。今日は違うパターンのお話。

B受信料不払者、滞納者と未契約者って法的にどう違うのでしょうか?

滞納者は元々NHKとの契約があり、何らかの事情で受信料を滞納しているだけですから、昨日の不払者と同じ運命を辿ります。では958万件の未契約者はどうなるのでしょうか?報道によると958万件の未契約者、つまり「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」が958万件いるようですが、そもそもこの数字は正しいのでしょうか?

裁判では、立証責任なるものがあります。対立している当事者の言い分は当然ちがいます。当事者の提出した証拠によって、どちらが正しいか裁判でわからない場合があります。このような場合に、有利な法律効果の発生を主張する側がそれを証明しなければならないのです。NHKが受信料を請求するためには、NHKが契約があることを証明します。それに対し、もう支払っているのであれば、領収書などで証明するのです。不払者は、当然領収書がありませんから、昨日の展開になります。

未契約者との関係では、契約の成立(ここではNHKが相手方が協会の放送を受信することのできる受信設備を設置したこと)を証明しなければなりません。勝手に人の家に入りこんでテレビがあるかどうか調査できませんから、立証責任のあるNHKはお手上げとなります。調査ができないはずなのに、958万件という数字はどこから出てきたんでしょうね???

2005年09月27日

NHK受信料と法的手段 その3

そろそろ本格的に会社法の条文を潰し始めました。読めば読むほど発見があり、クラクラしています。受験生に混じって予備校にでも行ったほうが楽だなと思ってしまいました。受験生といえば、明日司法書士本試験の合格発表です。合否ラインすれすれの方もそうでない方も、今夜は不安で眠れない夜だと思いますが、吉報お待ちしております。受かった方、是非コメント下さい。(そうじゃなかった方も。)

さて昨日のつづき。
A放送法ってなんでしょう?

受信料を払わなければならない根拠は放送法第32条にあります。

第32条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

ここでいう受信設備とはテレビの事です。要は家にテレビがあればNHKと契約しなければならない訳です。最近はパソコンでもテレビが視聴できますから、その場合はそのパソコンも受信設備に含まれるようです。

家にテレビがあり、NHKと契約してはいるけれど、最近のNHK不祥事に腹を立ててしまって受信料を払っていない、あるいは支払を拒否している場合は、民法上の債務不履行となります。もしNHKが支払督促をやってしまうと。。。

     ?????????????? → NHKによる支払督促

      ↓                 ??????? ? ↓
支払督促を無視、又は異議なし。 支払督促に異議
      ↓                ????  ???? ↓
NHKが債務名義ゲット  受信料の支払を証明できず
      ↓                ?????????  ↓
      ↓                 裁判負け

      ↓                 ????????? ↓

           結局NHKによる強制執行

強制執行までNHKがやるかどうかはわかりませんが、完璧に債務名義GETされます(笑)。
つづく。

2005年09月26日

NHK受信料と法的手段 その2

1回目のNHK受信料と法的手段の話の終わりに、「つづきがご覧になりたい方は、クリックにご協力下さい。」と書いてみたものの、どうも反応が悪いようです。このまま続行して良いものか判断に迷うところですが、とりあえず前回のつづき。

@そもそもNHKの受信料は払わなくてはいけないのでしょうか?

ずいぶん昔、まだ私が大学生だった頃、刑法で財産罪(窃盗罪・強盗罪・詐欺罪・恐喝罪・背任罪・横領罪等)について学んでいた時に、そもそも『財物』とは?という授業がありました。今の仕事などに全く興味のない不真面目な学生だっとので、あまり良く覚えていませんが、有体物でない無体物(電気・水力・冷気・暖気)もその客体になる、つまり隣りの家の電気や壁に穴を空けて冷気を盗むのも罪になるという説明があったような気がします。さらにその授業で電気は財物だが電波は財物でないという説明があったと記憶しています。

大学時代、貧乏だった私の代わりに、田舎の真面目な母がNHKの受信料を払っていました。「ちゃんと受信料払いなさいね。」と言う母に、「電波は財物じゃないから、払わなくてもいいんだよ。」と中途半端な法律知識を言って喧嘩になったことがありました。実際のところ受信料は払わなくてはいけないのでしょうか?

明日はこの部分に関する放送法についてです。遅くまで日誌を書いている私を応援して下さる方は、クリックお願いします(笑)。

2005年09月22日

女子高校生に見つめられ

NHK受信料の連載を匂わせておいて、恐縮ですが、今日の午前中に地元の商業高校に行ってきましたので、そのお話。

数年前から東京司法書士会港支部では、地元の高校に社会科の授業の一環として、講師を派遣しています。今回は先日打ち合せをした商業高校で講演がありました。対象となるのは、2年生と3年生、それぞれ2コマずつの計4コマ授業です。卒業した生徒が多重債務者にならないためのクレサラ関係の授業と、社会の授業で習った成年後見制度の授業です。

社会科の授業で習っている成年後見制度なんて、たかが知れてると思っていましたが、授業で使っているテキストを見て、ビックリしました。民法と商法の主要部分がかなり細かく記載されています。テキストには、同時履行の抗弁権・代物弁済・瑕疵担保責任・イニョウ地・新株予約権・現物出資などを始めとして、手形小切手の見本まで記載されています。(しかもご丁寧に条文のならび順に。宇奈月温泉事件などの有名な判例までも載っています。)

テキストには、挿絵が多いものの、内容を完全に理解すれば、宅建の民法の試験には問題なく対応できるレベルです。巻末に問題が載っていましたので、思わず解いてしまいました。そこそこの難易度です(笑)。「この教科書は卒業しても保存しておいて、何かあったら読み返しましょう。」とありましたが、まさに家庭に1冊の仕上り具合でした。

講義自体は、他の先生に頼みましたが、講義の前に歴代支部長が挨拶しているらしく、1時限目の冒頭から挨拶させられました。簡単に司法書士という職業の説明をしましたが、生徒全員が女子高校生、かなり貴重で苦しい体験でした(笑)。前座で場を和らげようと思っていたのですが、真面目な事しか言えませんでした。。。

2005年09月21日

NHK受信料と法的手段 その1

NHK受信料不払いに法的手段を導入するという新生プランが発表されました。ネタを提供してくれた事のみNHKに感謝しつつ、NHK受信料と法的手段のお話。

NHKの橋本元一会長が「法的手段を導入する」という発表をニュースで知った時、正直「あーあ、やっちゃった。」と思いました。一連の不祥事で受信料の不払いが増えて困っているのは理解できますし、受信料を支払っている視聴者から「支払ってない人を放置しておくのは、不公平だ。」という苦情が多いのも理解できます。でも法的手段を導入するのはどんなもんでしょう?橋本元一会長の「法的手段を導入する」という言葉は現実味がなく、ダチョウ倶楽部の上島竜兵の「訴えてやる!」とそう変わらない気がします。

法律系のHPに必ずと言っていい程、昔から「NHK受信料は払わなくてはいけないのか?」というテーマを扱った記事が掲載されています。ネタ不足に苦しむたびに、NHKの受信料のネタでも書こうかなと思っておりましたが、なかなか機会がなく、今日まで封印されていました。なぜなら、このテーマだけでも長い連載ネタになってしまうからです。なんとか今日1話で完結にしようと思っていましたが、やっぱり無理、論点が多すぎです。

NHKからのいいネタ振りがありましたので、明日以降ネタのない日に、順を追って@からEを説明していきます。

@そもそもNHKの受信料は払わなくてはいけないのでしょうか?
A放送法ってなんでしょう?
B受信料不払者、滞納者と未契約者って法的にどう違うのでしょうか?
C本当に支払督促という手段が選択できるのでしょうか?
Dその時簡易裁判所はどうなるんでしょうか?
E更なる架空請求被害が広がるのではないでしょうか?

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