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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2016年07月22日

今年の試験問題についての雑感

スクイーズアウトの続きのはずですが、今日司法書士試験の商業登記の記述の問題を解いてみたので、脱線して試験問題を解いた感想。

お金にならないのに、議事録のチェックをするのは、やる気が正直ありませんが、そこはブログのネタとして我慢我慢(笑)。

まず注意事項から

受験生にとっては、解答するためのヒントが隠されていることが多いんでしょうけど、こんな注意事項がありました。

添付書類の援用が可能な場合も援用しないものとする。
申請書に会社法人等番号を記載することによる登記事項証明書の添付の省略は、ないものとする。

受験生は、素直に受け取って解答するんでしょうけど、これって複数の正解が出て、試験委員が採点で苦しまないためでしょ(笑)。

そして問題。
会計監査人がさくら花子 受験生は必死でしょうけど、ちょっと笑っちゃいました。実務じゃないですからね。普通は、有名などこかの監査法人。しかも会社法人等番号を記載しますよね。(受験界はわからないですけど、このへんは、教えないのかな???)

1件目の登記は、監査等委員会設置会社。去年の改正会社法施行日にサントリーが採用したもの。当然昨年の試験委員が試験問題として採用するのは、試験問題作成のタイミングからして無理。だったら問題出すとしたら、今年しかなかったか。。。株式の併合なんて予想せずに、素直に監査等委員会設置会社を予測しとけば良かったなと思いながら、予約権。

役員の任期管理は、どこの事務所でもやると思いますが、行使期間の管理も当然やらなきゃいけません。ここまでは、うちが最近やった例とほぼ一緒。定款の新旧対照表は、上場会社の簡易バージョン。今までチェックしまくっているので、秒殺。

次が吸収分割。分割契約書も簡易版。秒殺。(受験生の方々、素直に書いているので、お願いですから、上から目線で書いてるなと思わないでね。。。正直、受験生には、こんなことばっかりやっている本職がどう思うか知って欲しいんですよ。1日9時間ほぼ会社法・商業登記法を会社法施行からでも10年。商法時代入れると2万時間以上やってますから、勘弁して下さい。)

なぜか次の議案が取締役選任。まあ実務でないこともないですけど、不自然。できない登記はこのへんかな?と先読み。

そして代表取締役の選定。やっぱりできない登記ってこれじゃん。(代表取締役の予選です。)

最後の別紙8
登記懈怠がない形で申請をして欲しいって書いてあります。ということは、やっぱ上場会社か上場準備会社。会計監査人がさくら花子はないっす(笑)。

と業務時間中に時間を計りながらやりつつ、上記のつっこみをしながら、また途中スタッフの質問に答えたりしながらですけど、正解まで10分。あとは、書けば終わり。

最後にちゃんとしてるな〜と思ったのが、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律に基づく手続きは、適法に完了している。

受験生の出題の範囲外ですけど、
会社分割は、承継対象となる労働者にとっては、勤務先が変わったり、結構大変なのにも関わらず、労働契約を引き継いでも、個々の労働者の同意は不要です。でも労働者保護してあげないと可哀想だから、7条協議・5条協議ってのがあります。うちの事務所では、このあたりのスケジュール管理もします。

労働者の理解と協力を得るための措置(労働契約承継法7条、7条協議)。
労働契約承継に関する労働者との協議(5条協議)

合併と違って会社分割のキックオフ・ミーティングに人事部がいるのは、そのため。
これらの協議も、ほとんどうまく行くのですが、最近労働者から異議の申出が出て、慌てたことがあります。

ここからは、業界関係者へ
事業譲渡も9月からこれが絡んできますから、気を付けて下さい。

ちょっと飲みながら書いてたので、間違いあったら、許してちょ。

2016年07月20日

スクイーズアウト その2

昨日は騒ぎすぎていないので、前回のスクイーズアウトの話のつづき。
現行あるスクイーズアウトの手法は、

1.特別支配株主による株式売渡請求・・・特別支配株主にハマらないと無理。
2.全部取得条項付種類株式の発行・・・今までの主流。
3.金銭交付を伴う株式交換・・・税制非適格を考えると微妙な場合も。
4.金銭交付を伴う合併・・・同上
5.株式の併合・・・ぼちぼち実例も出てきました。

「株式の併合」が、あまりにも乱暴横暴な手法でありました。
具体的には、
株主に通知または公告
株主総会の特別決議、取締役がこの総会で併合の理由を説明。
まさか「お前ら少数株主が邪魔なんじゃ〜。」なんて説明はしませんけど、実質はそういうこと。

これが、改正でかなりしっかりした手続きになりました。

せこくつづく。
どうでもいいですけど、今日親知らず抜いてきました。。。

2016年07月14日

スクイーズアウト その1

まんまと試験問題の予想は外れましたが、折角スクイーズアウトの話が出ましたので、改正部分も含め、おさらいでもしましょう。

少数株主と個別任意で相対取引ができれば、こんなスクイーズアウトやる必要もないのですが、諸事情があると、やらなきゃいけないですよね。

会社法が改正されるまでは、スクイーズアウトの主流は「全部取得条項付種類株式の発行」(法171条他)でした。
旧会社法時代でも無理に「株式の併合」もやってやれなくはなかったのですが、あまりにも乱暴横暴な手法でしたので、実際にやるケースは少なかったと思います。

具体的には、少数株主の保有株式を1株未満の端数に調整します。試験問題で「じゃあどういう比率?」みたいな問題もありかな?とも思っていましたが、さすがに酷かなと(笑)。

似た方法で特別支配株主による株式売渡請求(法179条他、枝番が10個あります。)というのも会社法の改正点としてありますが、これは、試験の問題にならないので割愛します。

久しぶりにまともなこと書いたので、続きは次回。

というか昨日はV2TOKYOのVIPで騒ぎすぎたため、気力がございません(笑)。

2016年07月04日

監査等委員会設置会社の定め設定ってか。。。

司法書士試験お疲れ様でした。
試験問題見てませんけど、監査等委員会設置会社が出題されてましたね。あそこまで簡易な例は、試験問題であって、実務では、こんな感じのボリュームになるので、出ないと思ってました。

実務での【登記の事由】
監査役設置会社の定め廃止
監査役会設置会社の定め廃止
監査等委員会設置会社の定め設定
取締役、監査等委員である取締役、代表取締役及び監査役の変更
会計監査人の変更
重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定め設定
取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の変更
非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定の変更

実務での【登記すべき事項(別紙)】
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外取締役)
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外取締役)
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外監査役)
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外監査役)
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外監査役)
「原因年月日」平成28年5月30日退任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日重任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日重任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役・監査等委員
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外取締役)
「原因年月日」平成28年5月30日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役・監査等委員
「氏名」○○○○
「役員に関するその他の事項」(社外取締役)
「原因年月日」平成28年5月30日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役・監査等委員
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日就任
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」東京都○○○○○○○○○○○○
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日重任
「役員に関する事項」
「資格」会計監査人
「氏名」○○○○○○○○
「原因年月日」平成28年5月30日重任
「取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定」
当会社は、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む)の損害賠償責任を法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる。
「原因年月日」平成28年5月30日変更
「非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定」
当会社は、会社法第427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、法令の定める額とする。
「原因年月日」平成28年5月30日変更
「監査役設置会社に関する事項」
「原因年月日」平成28年5月30日廃止
「監査役会設置会社に関する事項」
「原因年月日」平成28年5月30日廃止
「監査等委員会設置会社に関する事項」
監査等委員会設置会社
「原因年月日」平成28年5月30日設定
「重要な業務執行の決定の取締役への委任に関する事項」
重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがある
「原因年月日」平成28年5月30日設定

だいたいこんなボリューム感になるのが普通なので、さすがに出題はないと思ったのですが、だいぶ省略されてますね。論点も少ないし、罠も仕掛けにくいので、さすがに出ないと思ったのですが。。。

そもそも監査等委員会設置会社は、今400社くらい?なので、今年の合格者が、これを実務で取り扱う機会は、あんまりないと思います。

「株式の併合」の一点読みにしないで、「監査等委員会設置会社」の2点読みにすれば良かったですね。でもこのボリューム感じゃ実務やってる私には、出題可能性は薄いと思ってました。

最後まで読んでくれた方には、理解してもらえましたでしょうか???

問題見たらまたアップします。

2016年07月01日

今年も商業の記述の予想!

さて懲りずに司法書士試験問題を予想します。
今年は「株式の併合」の一点読み。
スタッフには、実務過ぎて無理と批判されてますが。。。

出題理由
1.平成18年の会社法施行の年に、改正点が出題されていたこと。つまり今回は改正された点から出題される。
2.会計限定や総数引受は、簡単すぎる。
3.監査等委員会設置会社は、登記事項が多すぎる。
4.去年の試験で初の出題パターンなのが、
「平成27年6月5日付けでFが乙川商会株式会社の取締役を辞任したことについて、考えられる理由を記載しなさい。」
「平成27年6月5日付けで乙川商会株式会社がその保有する自己株式の全部を消却したことについて、考えられる理由を記載しなさい。」
という「何でこれ事前にやってるんでしょうか?」という出題形式。

スクイーズアウトのための株式の併合

これを事前にやっておいて、「総株主の同意」が必要な登記につなげる。

ここが「何でこれ事前にやってるんでしょうか?」の答え。

となると、可能性が高いのは、優先株式。
発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の設定
発行済株式の総数並びに種類及び数の変更

問題の注意書きに、株主はABCDEであり、DFはAの株式を優先株式にすることに反対している。くらい書いてあれば「何でこれ事前にやってるんでしょうか?」に回答できる。

理想を言えば、まだ出題されていない書面決議でサクサクと総会。という流れ。
ちょっと難しくするのであれば、株券発行会社であればさらに良し。

改正商業登記からは、婚姻前の旧姓を併記。

ってところでいかがでしょうか。

受験生の皆さん、頑張って下さい。