性別の取扱いの変更という司法書士のお仕事があります。
性同一性障害者の性別を変更するもので、
手続きは平成16年7月16日に施行された性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づくものです。
まだ施行されて間もないのもありますが、件数自体は非常に少ないものです。関与したことのある方は少ないでしょうし、
うちでも扱ったことがありません。
詳しくは、2006年09月28日のブログ 性別の取扱いの変更をご覧下さい。
http://shihoushoshi.main.jp/blog/archives/001423.html
件数は少ないものの、ない訳ではありません。中には性別を変更し、結婚する例もありますし、
このニュースのように子供ができる例もあるようです。
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性別変更した男性を「父親」と認めず…
東京家裁
性同一性障害のため、戸籍上の性別を女性から男性に変えた大阪府の男性(30)が、第三者の精子を使った人工授精で妻(30)
との間に生まれた長男(2)の戸籍上の父として認めるよう求めた審判で、東京家裁は10月31日付で申し立てを却下した。(略)
審判書では「性別変更をした男性に、男性の生殖能力がないことは明らか」とした上で、「長男を男性と妻の嫡出子としては扱えず、
父子関係は認められない」と判断。「特別養子縁組をすれば足りる」と述べた。(2012年11月2日 読売新聞)
そりゃそうだという結論に思えますが、嫡出子として扱いたい親の気持ちもわかります。でも一般の方には、記事の「特別養子」
がわからないかもしれませんね。
馴染みのない「特別養子」をちょっとご説明。普通の養子とは違います。
(特別養子縁組の成立)
民法第八百十七条の二 家庭裁判所は、
次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組
(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
要件は
第八百十七条の三 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
第八百十七条の四 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は、養子となることができない。
第八百十七条の六 特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。
第八百十七条の七 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、
子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
そして実方との親族関係が終了します。
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。
この法律が施行されたのは、古いものではなく、昭和63年です。
普通の養子と違って、一般の方がぱっと戸籍を見てもよくわかりません。こちらも仕事で扱うことってないだろうなと思っていましたが、
たまに特別養子の戸籍を見ることがあります。
要件が厳しい特別養子。ほとんど実子のような扱いの特別養子。戸籍を見ながら、
特別養子である本人も気づかなければいいなと思ったりします。