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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2005年10月04日

NHK受信料と法的手段 その6

間隔が空いてしまいましたが、やっと元のNHK受信料のお話のつづき。

Dその時簡易裁判所はどうなるんでしょうか?
勝ち筋だからといっても、未納・滞納金額が少ない人に対しても支払督促をするとは考えにくいです。支払督促が安いといっても130万件、全ての不払者・滞納者に同時に支払督促とはいかないでしょう。もし仮に、費用面などを度外視して、全国で支払督促の手段に出たとしたらどうでしょうか?

ただでさえサラ金業者による大量の訴訟案件(業者事件)が持ちこまれ、あっぷあっぷしている裁判所に、130万件の支払督促が出されたらどうなるのでしょうか?一応支払督促では、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して申し立てるとなっていますが、東京簡裁だけでも、裁判所が麻痺してしまうに十分なボリュームとなります。しかもそれだけの対象者を相手にするとなると、「最後までとことん裁判やったるでええ〜。」という方もでてくるでしょうから、地裁まで巻き添えです。

後先考えずに、不払者・滞納者に対して支払督促ができたとしても、未契約者に対しては、以前説明した立証責任の問題で厳しいと思われますし、そもそも相手方の名前がわからないと訴状も送れません。表札のない家もいっぱいありますから、この場合もNHKは諦めることになるのでしょうか?マスコミを煽動しない、正攻法での法的手段は、相当厳しいものになりそうです。

 

2005年10月03日

動産譲渡登記と債権譲渡登記

NHKのお話にすべきところですが、今日から施行された法律がありますので、そのお話。先月末は例によって債権譲渡の日でした。(過去に徹夜を余儀なくされた債権譲渡に関する日誌はこちら。)この債権譲渡登記の申請が終わると、1〜2日後に、東京法務局民事行政部債権登録課より、申請の代理人のところに、「こんな登記がされましたよ。」と通知書が送られてきます。いつもは80円の封筒に入って送られてきますが、今回は角3サイズの大きめの封筒が送られてきました。

「何だ?これ?」と思って開封すると、いつもの通知書の他に、「債権譲渡登記(質権設定登記)の申請をされる方へ(お知らせ)」なるものが同封されていました。そうです。「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」(長い。。。)が今日から施行されるに伴って、申請データに変更がありますよ、という恐怖のお達しでした。ご丁寧に申請データ使用まで同封されています。心配なので、また申請データの再チェックしなければなりません(苦)。既発生債権のみであれば変更がないように思えるんですけど、どうなんでしょうか?分かる方、この内容に対応したソフトがあるのをご存知の方いますか??

今回は、動産譲渡登記制度の創設と債務者が特定されていない将来債権の譲渡についても登記可能となる債権譲渡登記制度の見直しです。企業が有する動産や将来取得する債権についても、第三者対抗要件が具備できる仕組みですから、今までにない資金調達の道が開けたことになります。需要は当然ありますので、そのうちに依頼がきそうではありますけど、早速動産登記をやったなどの情報がありましたら、是非教えて下さい。改正直後は、正直辛そうですね(笑)。

2005年09月30日

海の司法書士とは??

NHKのつづきはちょっとお休みして、今日は別のネタ。
司法書士試験や司法試験の発表がつづく秋ですが、そんな資格試験の中でもマイナーな(失礼かな?)海事代理士の試験が今日あったようです。大抵の資格試験が日曜日にある中で、平日に試験があるのに多少の違和感があります(笑)。司法書士もどちらかと言えば、マイナーですが、海事代理士は海の司法書士とも呼ばれる資格です。全国に登録者が1000人いない資格ですから、この仕事をしている人、この職業を知らなくても仕方ないかもしれません。

この資格が一躍脚光を浴びたのは、漫画『なにわ金融道』に海事代理士が登場してからです。私もその時に初めてそんな資格があるのを知りました。私の普段の仕事とは、接点があまりありませんが、海沿いの街に行くと、たまに○○海事代理士事務所なる看板を見かけます。詳しくお知りになりたい方は社団法人日本海事代理士会のHPまで。

私の知り合いで司法書士の資格がありながら、海関係のサラリーマンをやっている後輩がおりまして、その彼が、海を極めるとの崇高な思い(??)で、今回受験したようです。司法書士の知識がほとんど役に立たないようで苦労していたようですが、どうだったのでしょうね(笑)??

2005年09月29日

NHK受信料と法的手段 その5

昨日は参りました。サーバーの不具合、勘弁してもらいたいもんです。朝には復旧しており、1回アップしましたので、今日は1日2回目のアップです。

C本当に支払督促という手段が選択できるのでしょうか?
NHK曰く、「支払督促は、最後の最後の手段。」確かに支払督促という手段に出れば、不払者・滞納者には効果大です。でも昨日の説明のとおり、未契約者には、この手は打てません。そもそも受信料を支払っている人との不公平をなくすための手段である支払督促が、未契約者との更なる不公平へと繋がってしまいそうです。

「この法的手段と取るぞ。」との今回の脅しに、ビビッて支払う人もいるかもしれません。気の弱い人には効果があるでしょう。支払督促の手段は良いとして、実際に書類は誰が作成するんでしょうか?NHKの職員が作成するんでしょうか?司法書士が作るとなると、それだけでもかなりの費用がかかってしまいます。(130万件分!!)しかも支払督促に異議が出て、通常訴訟に移行した場合は、弁護士が担当するのでしょうか?数万円の滞納金額では、法的手段に出れば出るだけ赤字になってしまいます。受信料も10年で時効になりますから、たっぷり10年分(20万円ちょっと?)を滞納している人、事業者のみを対象にすれば、ギリギリ採算がとれるかな?といったかんじです。

でも実際には、NHKが強固な手段に出た、実際に簡易裁判所で手続を始めたというニュースに、ビビッた不払者・滞納者が減れば万歳といったところでしょうね。実際の法的手続よりもマスコミなどの報道による影響を期待してるんじゃないでょうか?対象者全員が通常訴訟に移行なんてことがあったら、完璧に赤字ですね(笑)。

2005年09月29日

NHK受信料と法的手段 その4

昨日はサーバーの調子が悪く、11時ぐらいまで格闘していましたが、結局アップできずに終わりました。失礼しました。

それではつづき。昨日は受信料不払者は、どう足掻いてもNHKに債務名義をGETされてしまうお話でした。今日は違うパターンのお話。

B受信料不払者、滞納者と未契約者って法的にどう違うのでしょうか?

滞納者は元々NHKとの契約があり、何らかの事情で受信料を滞納しているだけですから、昨日の不払者と同じ運命を辿ります。では958万件の未契約者はどうなるのでしょうか?報道によると958万件の未契約者、つまり「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」が958万件いるようですが、そもそもこの数字は正しいのでしょうか?

裁判では、立証責任なるものがあります。対立している当事者の言い分は当然ちがいます。当事者の提出した証拠によって、どちらが正しいか裁判でわからない場合があります。このような場合に、有利な法律効果の発生を主張する側がそれを証明しなければならないのです。NHKが受信料を請求するためには、NHKが契約があることを証明します。それに対し、もう支払っているのであれば、領収書などで証明するのです。不払者は、当然領収書がありませんから、昨日の展開になります。

未契約者との関係では、契約の成立(ここではNHKが相手方が協会の放送を受信することのできる受信設備を設置したこと)を証明しなければなりません。勝手に人の家に入りこんでテレビがあるかどうか調査できませんから、立証責任のあるNHKはお手上げとなります。調査ができないはずなのに、958万件という数字はどこから出てきたんでしょうね???