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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2014年09月10日

新株引受権付社債のお話 その4

昨日のつづき。

それから

平成11年発行の商事法務NO.1534のP106
こちらは、お題そのままずばり。
実務相談室
「分離型新株引受権付社債における社債の全部償還後の新株引受権の行使期間の変更の可否」

結論は「変更は可能」
当然まず取締役会の決議、それから既存の株主への影響が大きいため、株主総会の特別決議。社債は償還されているので、
当然社債権者集会は不要。

一番気になる総新株引受権者の同意については、下記のような微妙な解説がありました。

行使期間を延長する場合には、新株引受権者が不利益になるものではないので、
現存する総新株引受権者の同意が必要であるとは必ずしもいえないと考えます。

なんと微妙な表現(笑)。

結局これを根拠に管轄法務局と調整し、総新株引受権者の同意は不要ということになりました。

 

2014年09月09日

新株引受権付社債のお話 その3

やっと新株引受権付社債の話のつづき。

「分離型新株引受権付社債が全部償還した後に、新株引受権の行使期間を延長することができるか?」

結論としては「できる」が正解なのですが、添付書類を含め、だいぶアバウト。何とか古い資料を探すことに。

思い当たる先は、昔修業していたT先生(もうお亡くなりになりましたが)の登記研究。昭和26年の創刊号からあったような。。。

ということで、久しぶりに私の教育係だった番頭のKさんに会いました。

調べてみると、ありました。

平成6年発行の登記研究554号P60

さすが業歴長いだけのことはあります。

つづく。

 

2014年09月05日

旅館宿泊の先取特権

新株引受権付社債の話のはずですが、また脱線します。

漢字とカタカナ混じりの条文の話が出たので、強烈に変化した例をご紹介。

司法書士試験には、あまり出ない条文ですが、旅館宿泊の先取特権なるものがあります。

第317条
「旅館の宿泊の先取特権は、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、
その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する。」

宿泊客が逃げても旅館が救済されるニュアンスは伝わりますね。ひらがなと漢字は、さすがに読みやすいです。

でも私が勉強したいた頃の条文は、

「旅店宿泊ノ先取特権ハ旅客、
其従者及ヒ牛馬ノ宿泊料並ニ飲食料ニ付キ其旅店ニ存スル手荷物ノ上ニ存在ス」

読みにくいのは読みにくいですけど、従者と牛馬というとんでもない用語が入っています。

民法ができた明治31年という時代を感じさせる条文です。当時私が勉強していた頃は、
とんでもない時代錯誤な条文があるなぁといった程度ですが、今の受験生からすると、「とてつもない昔に勉強していたのね」
とどん引きされそうです(笑)。

 

2014年09月03日

新株引受権付社債のお話 その2

ちょっと話は前後しますが、事務所内でのやりとり。
この内容を理解するためには、当時の商法を知らなければなりません。

私「とりあえずこのへん読んどいてね。280条ノ19のあたりだから。」と古い六法を渡しました。
スタッフ「うげっ、カタカナ。」
私「???」
スタッフ「漢字とカタカナが。。。」

なるほど。最近の若い子は、漢字とカタカナ混じりの条文は知らないのか。。。

ちなみにこんな感じ。
第二百八十条ノ十九 会社ハ定款ニ定アル場合ニ限り正当ノ理由アルトキハ取締役又ハ使用人ニ新株ノ引受権ヲ与フルコトヲ得
A前項ノ場合ニ於テハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ新株ノ引受権ヲ与フベキ取締役又ハ使用人ノ氏名、
其ノ者ニ与フベキ新株ノ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、
数及発行価額並ニ新株ノ引受権ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間並ニ新株ノ引受権ノ行使ニ付テノ条件ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ取締役ハ取締役又ハ使用人ニ新株ノ引受権ヲ与フルコトヲ必要トスル理由ヲ開示スルコトヲ要ス

今思うと、よくこんなので勉強してましたな(笑)。
古文や漢文が嫌いだったといううちのスタッフは理系出身。

スタッフ「こんなだったら、そもそも司法書士試験の勉強しなかったですよ。」

古文や漢文は大好きではなかったけれど、嫌いではなかったので、私はこんな条文で勉強していたんですな(笑)。

 

2014年09月02日

新株引受権付社債のお話

今日は、うちのスタッフの知的好奇心をくすぐることのない商法時代の登記のお話。興味持って読まれる方は、かなり少ないんじゃないの?
っていうテーマです。

今の商業登記で、旧商法の知識が必要とされる場面は、ほとんどありません。

私「払込金保管証明書が必要になるの募集設立くらいだと思ってたけど、新株引受権付社債でもあるね〜。」
スタッフ「・・・」
このおっさん何言ってんだ。みたいな状態。

新株引受権付社債といっても若い人には、ピンと来ないかもしれません。更に自分の関与先の登記簿に、
まだ新株引受権付社債が残っているということもほとんどないと思いますが、全くない訳じゃないです。

今回古い知識が必要となったのは、「分離型新株引受権付社債が全部償還した後に、新株引受権の行使期間を延長することができるか?」
というお題を頂いたから。

ふる〜〜い解説書なりを探すことになりました。
つづく。