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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年02月02日

証券取引法違反と取締役欠格 解説

 


大安疲れ。午後の決済が終わって、やる気が失せたままこの時間です(笑)。
月末ある週はシンドイですね。。。

 


さて、気を取り直して、昨日の部分を整理しますね。


<会社法施行日前の段階で、証券取引法違反を犯し、
取締役を辞任した場合> つまり今回のケースでは、現行の商法が適用されます。

 

 


そしてもしホリエモンが


◆禁錮以上の刑に処せられた場合


商法第254条の2第4号により、刑が終了しなければ取締役になれません。
逆に「お勤めご苦労様です。」(そして、さっと、煙草を差し出されるみたいな(笑)。)となれば、即取締役に就任可能です。

 


整備法第94条第2項は、
会社法施行日前に証券取引法等会社法で新たに加えられた法律の罪に処せられても(例えば、証券取引違反で罰金刑に処せられたようなケース)、
会社法施行日に取締役として在任する場合は、そのまま取締役の資格を失いません。辞任していなければ、理屈の上では、
そのまま取締役でいられたことになります。

 


◆罰金の場合


商法第254条の2第4号により、取締役になれます。

 


◆執行猶予がついた場合


商法第254条の2第4号により、取締役になれます。

 

 


結局のところ、悪さした奴を簡単に復活させないという2年の期間も、
会社法施行後でなければ影響が出ない訳です。ある意味今回の事件はタイミング的にラッキーということです。
(どういう結果になるかわかりませんが。)でも例え2年間の制限があったとしても、陰で支配できるのは変わらないですね。
しかしながら連日の報道で次々に明るみに出てきた事実がありますから、このまま行くと、陰での支配も難しいかもしれません。

 


そういった報道の中、
今回のライブドア事件も関与先のコンサルティングファームが実名で報道されるようになっちゃいましたね。
そのコンサルティングファームのHPも数日前までアクセスできていましたが、さっき見ると閉鎖されていました。
早めにリンク貼ってご紹介しておけば良かったですね。色々実名で出てましたよ(笑)。うちの事務所は、六本木ヒルズの近くですから、
ひょっとしたらライブドアに関与していたかもしれません。無関係で良かった良かった(笑)。

 


姉歯元建築士じゃないですけど、士業の責任は重く、失うものも大きいですね。
せっかく勉強勉強の毎日を送って手に入れた資格も、一発で失ってしまいます。今回の事件で失われるもの、得られるもの色々ありますね。
 

 

2006年02月01日

ホリエモンと取締役の欠格事由


昨日散々「法令順守」だの「皆さんは交通ルールを守ってますか?」
だの偉そうにブログに書きましたが、ブログを書き終え、事務所を出て唖然。駐禁くらってしまいました(泣)。うちの事務所は1階の路面店。
事務所出たら目の前は道路です。「ほんのちょっとだから大丈夫。」という甘い考えは、西田憲正社長と同じ。人にとやかく言う前に、
自分の襟を正すべきですね。参った、参った(笑)。

 

 


さて、連載ものが溜まっておりますが、今日は、1月27日のつづき。
ホリエモンと取締役の欠格事由のお話。

 


現行の商法と新会社法での取締役の欠格事由については
「証券取引法違反と取締役の欠格事由」
でご紹介したとおりです。緩和された部分(破産)
と規制が強化された部分(証券取引法違反等)がありますよ。までが前回のお話。証券取引法違反容疑のホリエモン、
取締役になれない条件に該当しそうですが、本当のところはどうなんでしょうか?実は会社法の施行まであと数ヶ月。
この微妙なタイミングに左右されます。この微妙な時期のため、整備法なるものが用意されています。

 

 


整備法第94条(取締役等の資格等に関する経過措置)

 


会社法第331条第1項(同法第335条第1項、
第402条第4項及び第478条第6項において準用する場合を含む。)
の規定の適用については、
旧商法の規定(この款の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧商法の規定を含む。)に違反し、刑に処せられた者は、
会社法の規定に違反し、刑に処せられたものとみなす。

 

 


2 会社法第331条第1項第3号
(同法第335条第1項及び第478条第6項において準用する場合を含む。)
の規定は、
この法律の施行の際現に旧株式会社の取締役、監査役
又は清算人である者が施行日前に犯した同号に規定する証券取引法、
民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、
会社更生法又は破産法の罪により刑に処せられた場合におけるその者の第66条第1項前段の規定により存続する株式会社の取締役、

監査役又は清算人としての継続する在任については、適用しない。

 

 


ちょっと分かりにくいので、明日もう少し解説します。
一般の方に少しでも興味を持ってもらおうと思ってますが、退屈ですか?

 

2006年01月31日

西田憲正社長と法令順守

 


最近ニュースが多すぎてしまうので、
ホリエモンと取締役欠格事由については次回。今日はあの強烈キャラ、東横インの西田憲正社長と法令順守について。

 


「皆さんは交通ルールを守ってますか?」

 


昨日「法令順守が一番」と書いたものの、東横インの社長の会見などを見ると
(社長個人の問題という点はありますが)、日本の社会ってこんなもんで回っているんだよなぁと思ってしまいます。いかにもお金持ち風、
福耳の西田憲正社長の会見は、視聴者にかなり反感を持たれてしまうものではありましたけれど、正直従来(昔)
の日本の社会はあんなものとも思ってしまいました。会見見て怒った視聴者には悪いけど、見ていて笑ってしまいました。

 


法令順守となるようアドバイスする立場にありますけれど、
例えば株式会社で決算公告を官報に掲載している会社はほとんどないのが実情ですし、
役員変更登記などの各種登記もたいていは変更後2週間以内に登記がなされていないのが現実です。「招集通知?出してません。
悪いと知っててやりました。」と西田社長的な中小企業もいっぱいあります。あまりにも「法令順守」「法令順守」と声高に言えば言うほど、
お客は遠のいていきます(笑)。「あの先生、固いなあ。融通きかねえよ。」みたいな事は、いっぱい言われてきました。

 


今回のライブドア騒動・耐震強度偽装事件などは、これらの「法令順守」
の必要性を再認識するいいきっかけになりました。しかしながら「赤信号、
みんなで渡れば怖くない。」
という笑えない慣習が日本の社会に根強く残っているのも現実です。

 


昔、私が小学生だった頃の道徳の授業で、田舎で、
周りに人っ子一人いないような道路(当時の宮崎は割りとそうでした。)にある信号、先生の「赤信号でも、渡りますか?」
との問いかけにクラスの意見が大きく割れたのを思い出してしまいました。(当時の私は、渡って当たり前との意見でしたが(笑)。)

 


ケースバイケースなんでしょうけど、私は「法令順守」
を叫ぶお堅い商売べたな先生のスタンスでいきます(笑)。東京地検に怯える日々は嫌ですもんね(笑)。

 

2006年01月30日

日経新聞の第1面に「司法書士」

 


ちょっとだけ新聞ネタ。今日の日経新聞の第1面に「司法書士」
の文字がありました。「ライブドアの前取締役宮内亮治容疑者が(省略)登記担当の司法書士を指定していたとされる。」
だれかが登記をやっているんだろうと思っていましたが、宮内亮治容疑者が指定していたんですね。登記自体に問題はないにしても、
ある程度は今回の一連の流れに関ってしまってますから、もし担当していたとすれば、気持ちのいいものではないですね。
「東京地検特捜部ですけど、今回の件でお話をお伺いしたい。」
なんて言われたら、確実にクラクラします。やっぱり法令順守が一番です(笑)。

 

 


ホリエモンのつづきのはずですが、先週末は、港支部の新年会でしたので、
支部長の立場で一言挨拶させて下さい。

 


「忙しいのに、無理を言って参加してもらった支部会員の皆様、
遅い時間までお付き合い頂きましてありがとうございました。(セミナーでスタートが遅かったといえ、1次会の終了は11時でした(笑)。)
次回またお会いできればうれしいです。また色々ご準備頂いた執行部の皆さん、ご協力ありがとうございました。支部としましては、
今年の港出張所における不動産オンライン化、会社法対策など混乱が生じないよう対応していきますので、今後とも宜しくお願いします。」

 


何度かご説明したように 港区は都心部ということもあり、
若い司法書士を雇用する事務所が多く、他の支部よりも勤務司法書士(雇われ司法書士)が多い支部です。ほとんどが本職(ボス)
のみの司法書士が多い地域であれば、割と支部行事に対する参加率も高いようですが、雇われの身分で、
ボスの機嫌を損ねてまで参加してくれる若い司法書士は、残念ながらほとんどいません。支部活動に理解がある本職が、
自分の事務所の勤務司法書士を引き連れて参加してくれればいいのですが、そうそう立派なボスもいらっしゃいません。。。(そんな中、
引き連れて来て頂いたY先生ありがとうございました(笑)。)
 

2006年01月27日

証券取引法違反と取締役の欠格事由

 

 このサイトのアクセスログを見てみると、
架空請求業者である『司法管理通達局』で検索されている方が多いようです。
うちの親のように変なお手紙が来られている方がまだまだいらっしゃるようです。
そんな訳で架空請求のつづきも書かなければいけないところですが、今日はまた証券取引法違反のお話です。

 

 


証券取引法158条の違反容疑のホリエモンですが、
逮捕されたからといって自動的に取締役でなくなる訳ではありません。現行の商法では次に該当すると取締役でなくなります。

 


【商法】


第254条ノ2 左ノ者ハ取締役タルコトヲ得ズ

1
成年被後見人又ハ被保佐人

2
破産手続開始ノ決定ヲ受ケ復権セサル者

3
本法、株式会社ノ監査等ニ関スル商法ノ特例ニ関スル法律、
有限会社法又ハ中間法人法ニ定ムル罪ニ因リ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リタル日又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ2年ヲ経過セザル者

4
前号ニ定ムル罪以外ノ罪ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終ル迄又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者 但シ刑ノ執行猶予中ノ者ハ此ノ限ニ在ラズ

 


上記商法が今年の会社法で下記のように変わります。ちょっと比べてみて下さい。
(これまた長めですけど、受験生はポイントとなる部分を暗記して下さい(笑)。)

 


【会社法】


第三百三十一条 次に掲げる者は、取締役となることができない。


一 法人


二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者


三 この法律若しくは中間法人法(平成十三年法律第四十九号)の規定に違反し、
又は証券取引法第百九十七条第一項第一号から第四号まで若しくは第七号若しくは第二項、第百九十八条第一号から第十号まで、
第十八号若しくは第十九号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号まで、第二十一号若しくは第二十二号、
第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十五号若しくは第十六号の罪、民事再生法
(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、
第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律
(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法
(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、
第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、
第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、
又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


四 前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、
その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

 


昨日に引き続き長くなってしまいましたが、
違いがお分かりになりましたでしょうか?緩和された部分として「破産」しても取締役になれるのが、お分かりになると思います。
中小企業の社長も再起し易くなるので、この部分では規制緩和です。

 


逆に厳しくなった部分として、まさにホリエモンのケース、
証券取引法違反が加わります。やむを得ず、破産に至った中小企業の社長と違って、
証券取引法違反をやってしまった者に簡単に再起されては困るという趣旨です。会社法の勉強を始めた頃は、「ふ〜ん。」
とざっと読んだ部分ですが、これだけ注目されると、「会社法も良く手当てしてあるなあ。」と感心してしまいます。

 


これだけ読むと、ホリエモンは2年は取締役になれず、
簡単には再起できないように思えますが。。。

 


姑息につづく。

 

(さらに…)