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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2004年10月29日

有限会社がなくなる?

月末はいろいろあってやっぱり忙しいです。普段はあまり遅い時間まで仕事はしないんですけど、(集中力がいる仕事なんで、疲れてると間違えてしまうので。)9時になってしまいました。

昨日は、「会社法制の現代化要綱案」のセミナーに出席しましたけど、「今度から商業登記をやって行くの止めようかなあ(泣)。」と思ってしまうぐらいの大改正です(笑)。せっかく懸命に対応してきた商法ですが、原型がなくなるような改正にクラクラしてます。有限会社がなくなるっていっても一般の人にはピンとこないかもしれませんね。

実務で対応していく我々も大変ですが、今まさに商法を勉強している受験生は、本当に大変でしょうね。ほとんどがリセットされてしまう今度の改正、受験やめようかなと思う人も出てくるでしょうね。色んな知識が混ざり合って正確に理解していくのが、厳しいとは思いますが、みんな条件は一緒です。「なせばなる。」頑張って行きましょう!!

ちょっと短いですけど、今日はこのくらいで。

2004年10月28日

会社法制の現代化要綱案

東京司法書士会の港・千代田・中央の3支部を第1ブロックと呼んでいます。今日この第1ブロック主催の「会社法制の現代化要綱案」についてというセミナーがあり、私は、現在東京司法書士港支部の役員をやっている関係上、早めに会場に行ってお手伝いをしなければなりません。

株式会社と有限会社の一体化、合同会社という類型の創設、最低資本金の撤廃、類似商号規制の廃止などの大きな改正について、法制審議会会社法部会長の江頭先生(東京大学法学部教授)にご説明頂くことになっています。

という訳で、司法書士会館に行ってきます。

2004年10月27日

公正証書遺言の長所短所

ちょっと商法改正の話が続きましたが、やっと遺言の話。シリーズでお伝えすると言っておきながら、全然シリーズになってないとお叱りを受けそうですが、今日は公正証書遺言の話です。実務で遺言というと、以前ご紹介した自筆証書遺言より、この公正証書遺言のほうが断然多いです。自筆証書遺言の弱点となる部分をほとんどカバーしています。

自筆では、せっかく書いた遺言書が発見されないなどの不利益がありましたが、公正証書の場合、公証役場に遺言者が百歳になるまで保管されるので、安心です。蛇足ですが、百歳を超えても連絡すれば保管してもらえるようです。公正証書遺言では、遺言執行者(遺言を実現してくれる人、法律家が選ばれる事が殆どです。)が選任されていますから、その人に連絡してもらいます。残念ながら、私はまだ百歳を超える方とは、お付き合いしていないので連絡したことがありません(笑)。

公正証書では、内容を公証人が見てくれますから、法律に詳しくない素人の方でも安心です。自筆証書のように、訂正に失敗して無効になるということもありません。

また家庭裁判所の検認手続がいりませんから、時間手間費用がかかりません。遺言の中身に不動産がある場合、公正証書があると登記申請が楽ですから、公正証書の表紙を見ると、正直ほっとします(笑)。

いいことばかりのようですが、短所もあります。遺言の文案を法律家が練りますし、ケースによっては、遺言執行者にもなります。公証人も関与しますから、どうしても費用が高額になってしまいます。(と言っても、不利益を受けない安心料だと思えば妥当な金額だと思いますが。)

あと短所として、証人が2人以上必要という事があります。知人に頼むと内容が知れてしまいますし、身内でも推定相続人は証人になれません。でも実務では、ほとんどの場合、遺言執行者である法律家とその事務所の職員がなりますから、費用を考えなければ心配いりません。

自筆証書がいいと考えられる方もいらっしゃると思いますが、私個人的には、公正証書遺言をお薦めしたいと思います。

2004年10月26日

新株発行の効力発生日が変わりました。

昨日につづき、今日も改正商法の話。(一般の方は読み飛ばして下さい。)今月の1日より、新株発行の効力発生日(新株引受人が株主になる時期)が「払込期日の翌日」から「払込期日」に変更になりました。(商280ノ9条)
皆さん(司法書士・受験生です。もちろん(笑)。)そうだと思いますが、私も受験生時代「払込期日の翌日。払込期日の翌日。」と呪文のように唱えていましたが、この部分が改正されました。

今までの旧法下では、現実に金銭の支払いをしても、株主になるのはその翌日でした。旧法下では、金銭を支払っても株式の取得は同時ではありませんから、新株引受人にはリスクがあった訳です。ちょっと難しい言葉ですが、DVP(Delivery Versus Payment)決済という用語があります。DVP決済とは金銭の支払いと株式の引渡しを同時に行う決済方法のことで、この決済方法であれば、一方のみにあったリスクがなくなることになります。このために新株発行の効力発生日が現実に払込まれた払込期日に改正されたのです。一般の方には、むしろこちらのほうが馴染みやすいのではないでしょうかね。

受験生にとってビックリなこの改正ですが、受験生より当然司法書士の現場のほうが影響があります。この改正を知った時、「10月1日以降、全国の法務局でこの改正を知らずに、登記申請して失敗する先生は多いだろうなあ。」と思っていましたが、やっぱりというか、身近にも失敗した話がありました(笑)。これからの新株発行には気を付けて下さい。

2004年10月25日

株券の不発行

今日は久しぶりに商法がらみのお話。また商法改正ですか。と溜息が出るような最近の改正に次ぐ改正ですが、また変わりました。取り合えず、登記に影響のある部分でご紹介します。業界関係者以外には何のことだかという内容なので、一般の方は、読み飛ばして下さい。
今月から「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」が施行されました。この改正で司法書士の業務に直結しそうなのが、『株券不発行』です。すべての株式会社は、定款で株券を発行しない旨を定めることができる。(商227条1項)となりました。

株式会社があれば、その会社は株券を発行しているものだと思われている一般の方もいらっしゃると思いますが、小さな会社では、発行していないのが実情です。今回の改正で、今まで世間の多くの中小企業で、旧商法226条1項に違反していた状態が治癒されることになります。

平成16年10月1日に改正になりましたので、今月から設立する株式会社で、株券不発行が実情に合っている場合は、原始定款に「当会社は株券を発行しない」と記載するようアドバイスすることにしました。このため、株券に関する定款の記載は大きく変わることになります。改正直後なので、公証人・法務局・司法書士の現場は多少混乱したようです。

定款にこの旨を定めた場合、登記事項となります。OCRの記載例などまだ公開されておりませんが、「資本の額」の次あたりに
「株券の不発行に関する定め」当会社の株式については、株券を発行しない
と記載すれば良いようです。(東京法務局の相談結果、何社か既にこの内容で登記されているそうです。)

登記事項になりますから、うっかり忘れないで下さい(笑)。

(さらに…)