NEET株式会社続報です。
「おいおい誰か彼らに伝えてくれよ」みたいなやや辛口になっております。
ニート170人超「全員が取締役」 今月会社を設立へ(THE PAGE 11月6日)
(中略)
数メートルに及ぶ委任状
10月30日、東京の国立オリンピック記念青少年総合センター。
この日は、会社定款の委任状と取締役就任の承諾書に、発起人メンバーのニートたちが押印するために集まった。会場には、 数メートルに及ぶ委任状にメンバーの名前がずらりと記されていた。委任状は発起人の人数分の割り印が必要で、 通常の形式の書面では人数が多すぎて全員が印鑑を押せないので、巻き物状の委任状になったという。発起人は135人だが、 最終的に取締役に名を連ねるのは175人になる。
この記事を読む限りでは、司法書士は関与してないんでしょうね。
つっこみどころが多すぎて困りますが、ひとつひとつ片づけていきましょう。
まず数メートルに及ぶ委任状問題。
「通常の形式の書面では人数が多すぎて全員が印鑑を押せないので、巻き物状の委任状」にしたとあります。
そもそも発起人にこれだけの人数が必要かはひとまず置いておきましょう。
発起人が135人が定款認証の委任状に押印する必要が仮に、(仮にです。)あったとして、契印(記事では割印となっていますが、これは間違い。)は代表者ひとりで問題なく処理してもらえます。契印のために、わざわざ巻物にする必要はどこにもありません。
そもそも発起人にこれだけの人数が必要か問題。
たぶん彼らの最終的なゴールは、175人が全て取締役になり、全員が同じだけ株式を保有すること。
だとすると、とりあえずは、発起人1人にして、後日株式を発行するなり、あるいは代物弁済で処理したり、楽する方法はいくらでもあります。押印の手間、費用などを考えると、発起人が135人は無理があります。好意的に考えて、この押印のための集会が彼らにとって大事なお祭りであれば、まあ理解できなくもありませんが、基本的にこの方法はないです。
取締役の就任承諾書に押印が必要か問題。
正攻法でやるとすれば、当然こうなってしまうんでしょうが、取締役は175人。登記官も175枚の就任承諾書を確認はしたくないでしょう。とりあえず、少人数でスタートして、ほぼ175人が集まる株主総会を設立後に開催して、席上就任承諾させて就任承諾書は添付省略としましょうよ。押印も代表取締役1名でOK。(取締役会設置会社なら。。。)
まさかとは思うけど、取締役会設置会社だよね問題。
就任承諾書を添付省略する方法も取締役会設置会社だからできるわけで、取締役会非設置会社だと個人の印鑑証明書は必要になるし、実印の押印も必要だし、いいことなし。
でも取締役の就任承諾書に押印させているので、定款に100人を超える取締役の名前が記載されたっぽい。。。
まさかとは思うけど、代表取締役1名問題。
若新さんという人が代表取締役になるみたいですけど、代表取締役が一人だとすると、この人に何かあったら、取締役会議事録には、全員実印で押印・印鑑証明書全員分添付という地獄パターン。代表取締役は複数名にしておきましょうよ。
楽する方法はいくらでもあるのに、いばらの道を歩み始めたようです。設立したら、自腹で閲覧してみたい(笑)。
取締役175人のうち、ひとりでもこのブログを読んで、楽な運用を考えて欲しいと切に願います。