本文へスキップ

司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2012年07月13日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その3

さて、つづき。
「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」
で問題になっている件。

実は法務省が、この場面の株主総会議事録をHP上で公開しています。
私の記憶では、数年前まで「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」と記載されていたと思うのですが、現在公開されている文言は、

「なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。」

となっています。ご丁寧にこの場合は、就任承諾書を添付しなくていいよと解説まで掲載されていますから、
これで問題になることはないと思われます。ポイントはやはり「席上」の2文字。

「なお、各被選任者はその場で就任を承諾した。」とほとんど同じ意味でしょうが、HPで公開中の「なお、被選任者は、
いずれも席上その就任を承諾した。」のほうが問題はないのでしょう。

HPで公開している文書がわざわざ書き換えられているところをみると、この文言で「問題なし」
との内部の調整がとられているんだと思います。

これで困ることはないはずですが、この記載で問題がないのは、取締役や監査役の身分を株主総会中に得られた場合です。

特に問題になるのが、監査役の任期満了に伴う後任者選任の場面。

これから飲みに行くので、また続けます。
ごめんね。

2012年07月11日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話 その2

会社法が施行された際に、株主総会議事録に押印していない役員は、就任承諾書を援用できないとか、誤った処理をされそうになった話は、
今となっては昔話。

今の時期になって問題になっているのは、この1行の記載の仕方。実務をやられていない司法書士受験生の方には、
司法書士がこの問題に振り回されているなんて、思わないでしょうね。法務局によって、運用が統一されていないのも、問題を大きくしています。

今まで
「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」
で問題なかった文言も場合によっては、「株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した」のか疑われ、場合によっては、別途、
就任承諾書を添付するよう求められてしまいます。

似たような文言ですが、より受理される可能性が高いのが、

「なお、被選任者は、いずれも即時その就任を承諾した。」
「なお、被選任者は、いずれも直ちにその就任を承諾した。」

でもこれも100%安全ではありません。

「なお、各被選任者はその場で就任を承諾した。」

だいぶいいかんじになってきました。

思ったより長くなるので、せこくつづく。

2012年07月10日

役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話

だいぶさぼっておりました。失礼しました。

さて、今日は色んな方がブログで取り上げている役員の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用の話。

総会が終わり、役員変更登記の多い時期ですが、今年になって就任承諾書で補正になったり、法務局ともめたりした司法書士は、
いませんか?「だって去年までこれで良かったでしょ?」というやるせない気持ちになってませんか?

もめてる原因は、株主総会議事録の

「なお、被選任者は、いずれもその就任を承諾した。」

という記載。

この記載は、そのままあの書式精義の株主総会議事録のサンプル例にもそのままの文言で記載されている有名(?)なフレーズです。

実務上、たった1行ですが、大事な1行。

さらに、書式精義には、

株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した場合には、「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と記載して差し支えない。

と記載されています。

要は、「株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した場合で、株主総会議事録にその旨の記載があれば、
就任承諾書を登記の申請書に添付しなくていいですよ。」ということです。

この業界の人間なら誰でも知っている話。司法書士も登記官も司法書士試験の受験生も誰でも知ってる話が、問題になっています。

思ったより長くなりそうなので、つづく。

2012年07月04日

名称抹消等請求事件

昔、商法時代と比べると、設立や商号変更の際の類似商号の調査は、ずいぶんと楽になりました。
登記ができないという意味での類似商号は、実際ほとんどあり得ないと思います。

だからといって類似商号の調査が不要かというと、不正競争目的による類似商号の使用の問題があるので、
ある程度はしなければなりません。

しないとどうなるのか。

↓こんなかんじになるといういいサンプル。

平成24年6月29日判決言渡
平成23年(ワ)第18147号 名称抹消等請求事件
http://kanz.jp/hanrei/data/html/201206/20120703104630.html

 

ご一読下さい。

2012年07月03日

今年の司法書士試験問題について

週末、法廷デビューの道で紹介したことのある「たーさん(仮名)」から電話がありました。

法廷デビューの道
http://shihoushoshi.main.jp/blog/archives/000342.html

 

今年も司法書士試験を受けたとのこと。今日はちゃんと試験問題(といっても商業登記の書式の問題だけ)を確認したので、
思ったことを書きます。

有限会社は、古い時代にも1度だけ出題されましたけど、書式の問題としては、メジャーではありません。商号変更によるによる移行は、
マイナーな有限会社の中では、メジャーな分野。しっかりと練習していたかどうかは、別として、書けなくはない分野です。実務では、
同日での増資や同日での管轄外本店移転など、ちょっと込み入った登記と合わさると難易度がアップしますが、
さすがにそこまで複雑ではありません。

合併にしてもそう複雑ではありません。官庁の許可とか要らないとか注意書きも念には念を入れたかんじ。
目的上事業者にあたったりしないように、目的も飲食店の経営のみと、試験委員も念には念を入れてます。

登記できない事項も、注意書きに異常な記載(株主の一部が総会を途中退席)があるので、すぐに気付いた受験生も多いと思います。

問題の中で、唯一気になったのは、監査役を取締役に選任しているところ。司法書士試験の授業では、メジャーな論点ですけど、
問題文から明確に監査役として辞任した記載がないこと。

先日、似た事案があって、調べていたのですが、こんな最高裁の判例があります。(試験問題の事案とは取締役・監査役が逆ですけど)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130532646427.pdf

 

監査役に選任された者が就任を承諾したときは、監査役との兼任が禁止される従前の地位を辞任したものと解すべきである

 

取締役としての就任承諾で、監査役は当然辞任というカラクリは、実務ではお目にかかることはないので
(当然事前に辞任届なりを用意してます。)、理屈で分かっていても、試験中に解答するのは、やや困難だと思われます。

とにかく受験生のみなさん、おつかれでした。