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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2014年06月13日

株主総会の書面決議のお話 その4

昨日の続きです。
会社法が施行されたばかりの頃は、今と違って探り探り実務を行っていました。会社法だけでなく、当然商業登記も探り探り。実務家向け、
特に司法書士向けの書籍もほぼ存在しない状況で、法務局によって対応が違ったり、かなり苦労した記憶があります。
株主総会や取締役会の書面決議もそういった探り探りな状況で少しずつ解決していました。

苦労した当時の実務のバイブル的な存在が「論点解説 新・会社法 千問の道標」。

総会の書面決議を行う場合に、提案内容について取締役会の決議は不要という根拠がその487頁に表として掲載されています。
株主総会決議の省略(319)の項目に298省略可能となっております。

またその千問の編著者で立法担当者でもある葉玉先生が書かれていたブログ「会社法であそぼ。」は、
当時の実務家には相当有益でありました。その「会社法であそぼ。」に総会の書面決議を行う場合に、
提案内容について取締役会の決議は不要という記載があります。

会社法であそぼ。 2006年08月04日より引用
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50934696.html

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Q8
先日、子会社の会計監査人の選任に関し、第319条の「株主総会の決議の省略」を利用する場合のことを質問させてもらった者です。
この問題に関し、またよくわからないことが出てきました。以下、ご質問します。
@ 第344条第1項第1号では、会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出する場合、監査役(会)の同意を得ることとされますが、
第319条第1項の「株主総会の決議の省略」は条文上、「提案」であり、「議案の提出」ではありません。この場合でも、この「提案」
に監査役(会)の同意は必要ですか?
A 第319条第1項の取締役とは代表取締役に限られますか?
B Aの場合、取締役からの提案は取締役会の決議(承認)を事前に受ける必要はないのでしょうか?Posted by R at
2006年08月02日 22:29

A8
@344条1項1号の議案の提出には、319条1項の提案も含まれると解されます。したがって、提案に監査役の同意が必要です。

A提案するのは、代表取締役に限られません。
B提案には、取締役会の決議は不要です。

また同様の内容について
会社法であそぼ。2006年08月05日
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50936940.html

 

会社法であそぼ。2007年11月23日 (金)
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_4d10.html

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Q8
319条1項で取締役の提案する株主総会の目的事項は、取締役会設置会社の場合、取締役会における決定が必要なのでしょうか。
298条1項の適用はないけれども、362条4項の「その他重要な業務執行の決定」にあたるとして、必要ということでしょうか。
ご教示願います。
投稿 企業戦士 | 2007年11月16日 (金) 20時43分
A8
 319条1項の提案は、基本的には、取締役会の決議は不要です。

みんなが頼りにしていた「会社法であそぼ。」で、これだけ総会の書面決議を行う場合に、
提案内容について取締役会の決議は不要とありますから、当然これが実務のスタンダードですよね。のはずです。

しかし、問題が発生してきました。

つづく。

 

2014年06月12日

株主総会の書面決議のお話 その3

昨日のブログで「江頭338頁がスタンダード」と書きましたが、誤解を生じやすいので、
これから数日間の連載を読んでご判断頂きたいと思います。(しかし現状そういう対応をしている企業が多いのですが、その理由などは、
後日説明致します。)

さて、まず「江頭2:50」のまとめ
「江頭338頁による考え方が手続きを重くする」というのは、つまり
「取締役設置会社において取締役が取締役会の決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由となる」ので、
株主総会書面決議を取締役の提案で行う場合には、必ず事前に提案内容について取締役会の決議が必要になるということ。

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参考までに
(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条  取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。
次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

一  株主総会の日時及び場所
二  株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三  株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四  株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
4  取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、
取締役会の決議によらなければならない。

「江頭2:50」だと、総会を書面でさらっとやろうとしても、取締役会開催するにあたって、取締役のスケジュールの調整を行ったり、
取締役会を書面決議で行うにしても、作成準備しなかればならない書類が単純に増えたり大変です。総会書面決議の提案日と同意日の他に、
取締役会書面決議の提案日と同意日の間隔を考慮すると、機動的に動けなくなります。スケジュールも最短という感じではなくなります。

この「江頭2:50」ではなく、総会の書面決議を行う場合に、
提案内容について取締役会の決議は不要という実務家にはありがたい考え方もありまして、こちらの根拠等については、
続きにて明日以降ご説明していきます。

思ったより長い連載となりそうですが、お付き合い下さい。
ブログ更新には、厳しいシーズンですが、このネタでしばらく楽できそう(笑)。

つづく

 

2014年06月11日

株主総会の書面決議のお話 その2

株主総会の書面決議は株主全員が同意した場合に成立する手続きです。通常は、取締役の誰か(ほぼ代表取締役)が提案をして、
全ての株主が同意という流れです。株主全員の同意がありますから、事前に総会の決議事項に関して、
わざわざ取締役会での付議事項の決定までは不要だという考え方もあるようです。

そういう考え方が実務上定着すれば簡単でいいのにな〜と思っていますが、個人的に「江頭2:50」
と呼んでいるものが簡単な実務の邪魔をしています。

それが江頭先生の株式会社法338頁。
そこにしっかり下記のような記載があります。

書面決議の意義
書面決議は本来会議を経た上で決議することを要するケースにつき、議事の省略を認めるものに過ぎない。
したがって取締役設置会社において取締役が取締役会の決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由となる(会社法298条4項・
831条1項1号)。

これが手続きを重くしている元凶でありまして、これが実務の考え方のスタンダードとなっております。

もう少し続けます。

 

2014年06月09日

株主総会の書面決議のお話 その1

この数日ブログを放置しております。今週も色々と納期が迫っていますので、どこまでアップできるか自信がありませんが、
とりあえず今日は更新。

 

(一応特に断りのない限り、対象となる会社は、上場企業の100%子会社で非公開の取締役会設置会社だと思って下さい。)

株主総会の書面決議は実務上かなり定着していますので、それぞれの会社なりにお決まりのパターンの書式があります。

一番活用されているのが、上場会社の100%子会社のように、株主が1名の場合です。
もちろん10名以上株主がいる会社でも株主総会の書面決議はできるのですが、株主全員の同意を得るのがしんどいので、株主が多い場合は、
この手続きはあまり選択されません。

書面決議の議案の中身ですが、特に多いのが親会社の都合による役員人事絡みです。親会社から
「○月○日から○○○○を取締役として追加選任します。」みたいなケース。
他に議案もないとわざわざ株主総会を開催するのも負担が多いですから、書面でさらっと終わらせます。

非公開の取締役設置会社の場合、登記には、この書面決議の株主総会議事録と就任承諾書さえ準備すればいいので、とてもお手軽。

登記上も問題ないので、提案書・同意書・株主総会議事録・就任承諾書だけを準備すればいいという考えもあるようですが、
実務上はそれだけでは終わりません。

個人的には、「江頭2:50」と呼んでいる手続きが必要になるからです。

(つづく)

 

2014年06月04日

株主総会議事録に細工(319)する

結構頑張って処理してるはずなのに、減りません。。。

さて次回より

株主総会の書面決議、特に株主提案による株主総会の書面決議の留意点や活用場面についてご案内したいと思います。

ちなみに下記会社法319条、「株主総会議事録に細工(319)するとゴロで覚えております。)

行数稼ぎ。

(株主総会の決議の省略)
第三百十九条  取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主
(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、
当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2  株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、
同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、
第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5 第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、
その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。

 

なぜ次回よりかというと、仕事を溜めまくっているのに、飲みに行くからです。

ごきげんよう!