株式譲渡とは、会社の株主が既存の発行済株式を譲渡することによって、株主としての権利を買い手に譲り渡すことです。株式譲渡は、手続きが比較的簡単なことから、中小企業においてもよく用いられ、株式の過半数もしくは(特別決議が可能となる)3分の2以上を売却し、経営権を譲渡する方法としても用いられます。さらに、何らかの事情により、完全に事業から手を引かなければならない場合にも用いられます。経営者である株主からすれば、自分の会社が存続する上、株式譲渡では株主個人に直接お金が入ってくるので、創業者利益を実現しやすいといえます。また、自分たちが経営を続けていては先行きが望めない会社でも、適切な相手に売却することによって会社自体が立ち直る可能性があります。
株式譲渡の手続きは、株式の譲渡制限に関する規定が有るか無いか、また株券発行会社か株券不発行会社かによって異なってきます。なお、株式の譲渡制限に関する規定及び株券発行会社である旨は登記簿に記載されています。
A.株券発行会社の場合、株式を譲渡するには株式譲渡契約の締結に加えて、株券の引渡しが必要になります。せっかく株式譲渡をしても、株券を引き渡さないと無効になってしまいます。株券発行会社であって、まだ株券を株主に対して発行していない場合でも、株券を会社から発行してもらい、それを株式取得者に交付しなければ、第三者に対して株式を取得したことを対抗することができません。
A.株券を発行する場合、特に決まった用紙を使用しなければならないといった決まりは無く、普通の紙でも構いません。ただし、株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名又は記名押印しなければなりません。
1.株券発行会社の商号 2.当該株券に係る株式の数 3.譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要する ことを定めたときは、その旨 4.種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容 |
A.株式の譲渡は原則として自由にすることができます。しかし、株式の譲渡制限に関する規定のある会社の場合、会社の承認が必要となります。現在、上場会社以外の会社の9割近くが、譲渡制限規定を定めています。会社が望まない第三者に株式保有されることを防止できるからです。
しかし、株式の譲渡制限規定は、譲渡自体を制限している訳ではなく、発行する全部又は一部の株式の内容として、「譲渡による株式の取得については株式会社の承認を要する」旨の定款の定めを設けているだけですので、譲渡制限株式の譲渡を株式会社が承認しないときには、会社又は指定買取人がその株式を買取らなければなりません。つまり、株式の譲渡先を制限しているというだけで、譲渡自体は可能となります。
A.以下の回答をご参照下さい。
1.株券発行会社の場合
株式譲渡契約の締結に加え、株券の交付が必要となります。中小企業の場合、株券発行会社であっても、実際には株券を株主に対して発行していない会社も多いかと思います。しかし、株式譲渡をする場合には、株券を会社から発行してもらい、それを株式取得者に交付しなければ、第三者に対して株式を取得したことを対抗することができません。ちなみに、会社に対しては株主名簿の書換が必要です。
2.株券不発行会社の場合
株式譲渡契約の締結だけで、株式譲渡の効力が生じます。株券が無いので、株券を交付する必要がありません。当事者以外の第三者(会社も含む)に対して株式を取得したことを対抗するためには、株主名簿の記載または記録が必要となります。株式取得者は会社に対し株式名義の書換請求をすることにより、株主名簿記載事項証明書の交付を受けられます。
ご依頼頂く場合は、次のような手続の流れになります。
( )は、手続に要する作成必要書類を示しています。
株券発行会社の場合
1.譲渡人・譲受人間での株式譲渡契約締結の内諾
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【譲渡人・譲受人である株主が会社の場合には、2の手続が必要になることがあります】
2.株式譲渡契約締結についての取締役会承認決議等
(取締役会議事録)
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【株券を発行していない場合には3・4の手続が必要です】
3.譲渡人から会社に対し株券交付請求(株券交付請求書)
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4.株券の交付(株券)
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5.譲渡人から会社に対し譲渡承認請求(株式譲渡承認請求書)
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6.株式譲渡の承認について、取締役会等の承認機関にて承認
(取締役会議事録)
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7.会社から譲渡人へ譲渡承認を通知(譲渡承認通知書)
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8.株式譲渡契約締結(株式譲渡契約書)
※株券の引渡しが必要になります。
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9.株式譲渡実行(株券)
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10.譲受人から会社に対し株主名簿の書換を請求
(株式名義書換請求書・株券)
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11.株主名簿の書換
株券不発行会社の場合
1.譲渡人・譲受人間での株式譲渡契約締結の内諾
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【譲渡人・譲受人である株主が会社の場合には、2の手続が必要になることがあります】
2.株式譲渡契約締結についての取締役会承認決議等
(取締役会議事録)
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3.譲渡人から会社に対し譲渡承認請求(株式譲渡承認請求書)
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4.株式譲渡の承認について、取締役会等の承認機関にて承認
(取締役会議事録)
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5.会社から譲渡人へ譲渡承認を通知(譲渡承認通知書)
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6.株式譲渡契約締結(株式譲渡契約書)
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7.株式譲渡実行
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8.譲渡人と譲受人が共同して会社に対し株主名簿の書換を請求
(株式名義書換請求書)
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9.株主名簿の書換
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10.会社から譲受人へ株主名簿記載事項証明書を交付
(株主名簿記載事項証明書)
株式譲渡についてご依頼頂く場合の費用に関しては、以下の表の様になります。
※尚、株券の印刷も併せてご依頼頂く場合は、別途ご相談下さい。
登記の種類 | 内容 | 報酬(税別) | 登録 免許税等 |
合計 (税別) |
登記不要 |
株券不発行会社における株式の譲渡 | 50,000 | 不要 |
50,000 |
株券発行会社における株式の譲渡 |
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